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2022年10月10日
No.10003072

パチンコホールのM&Aで成功するために 第2回
B級大型店をめぐるM&Aと再投資の時流
文=奥野倫充(船井総合研究所 上席コンサルタント)

B級大型店をめぐるM&Aと再投資の時流
奥野倫充氏

船井総合研究所でホールに特化したM&Aを手掛ける奥野倫充氏が提言するコラムの2回目は、今後増加が見込まれる大型店のM&Aについて業界環境の変化を受けた時流を見極めます。


B級大型店を売るか
追加投資かの決断は今


現在は大型店≒花形となっていて、大型店の経営が未経験の法人にとっては垂涎の的。ただ、そんな大型店においても「不良債権」が出回る時代はもうすぐです。大型店の「不良債権」が出回るという時流です。

S級、A級の大型店は問題ないのですが、年間で営業利益が1~2億円程度のB級、C級大型店の営業が年々難しくなっています。追加投資をしてS級、A級の営業利益にまで持ち上げられるか。それとも、M&Aで売却するか。その選択に迫られているのがB級大型店の現在地です。というのも、今なら大型店は営業権がプレミア付で売却できるからです。そのチャンスは活かすべきです。

高値で売却したB級店舗の原資を活かし、別のB級店舗をS級、A級にすべく追加投資する。そんな取捨選択ができるのも今年までだと思います。近々、大型店の「不良債権」問題が出てくるでしょうから、その時に売却判断をしていたのでは高値売却ができない可能性が高くなるからです。

M&A成立後に客数倍増している
大型店の営業戦略とは


先日、M&Aが成立した大型店を調査して回る機会をいただきました。以前の法人よりも客数増に成功している店舗ばかりです。もちろん、M&Aで以前の法人から事業を引き継いだ店舗も調査をさせていただいたのですが、とても参考になる部分が多くありました。

M&A成立後、再生しているお店の特徴は次の2点です。

①パチスロを起点に全体集客の増加に成功。パチンコは1円を増やしながら客数を確保。1円増は4円パチンコへの過剰な機械代投資を避けることにも成功している。少な目にした4円パチンコでは有力機種を優良営業で提供している。

②パチンコを中心とした有力機種の大量導入を続けることで軌道に乗せている。ただ、優良営業とはいえない。

もちろん、有力機種の大量導入を続けていても軌道に乗っていない大型店もあります。大型店はS級、A級になると年間営業利益が4~5億円以上という魅力的な収益が見込める業態です。ただ、そこに行き着くまでには追加投資が必要です。そして、追加投資を続けても軌道に乗せられない店舗もあります。今後は、そんな大型店がパチンコ業界の時流の真ん中に来るのではとも思えます。

B級大型店を
S級にする営業力について


現時点においても投資回収が10年以上となるB級大型店は、早々に問題が顕在化すると考えられます。既存店でB級大型店を展開する法人様において重要なのは、次のふたつに集約されます。

①B級大型店を業績回復させられる能力を持つか?
②早々に見切りをつけて売却する決断ができるか?

ただ、B級大型店の業績回復は追加で高額の投資が必要になるでしょう。その追加投資をして年間利益1~2億円を4~5億円にする。例えば3~5億円程度の追加投資でプラス2~3億円程度まで年間営業利益が伸ばせるならば価値があります。そのためには高額の追加投資という決断と、それを実現する営業力が必要になります。

以前のB級C級大型店が、M&AをきっかけにS級A級になっている事例は複数あります。それらの事例を研究してみようと思いますので、研究した内容は改めてご提案できればと思います。

おくの・のりみち
株式会社船井総合研究所 第三経営支援本部 レジャー&スポーツ支援部 上席コンサルタント
全国のパチンコホールの経営支援に実績を持ち、近年ではホールに特化したM&Aで多数の実績を持つ。現在、近年に新規出店やM&Aの実績があるホール経営企業約50社と密にコミュニケーションを取り、売却希望の企業とマッチングを図っている。




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