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2024年09月20日
No.10004596

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」㉝
パチンコ店は『TikTok』をどう活用するべきか?
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

パチンコ店は『TikTok』をどう活用するべきか?
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

突然ですが、「トクる」という言葉をご存知でしょうか? 「トクる」とは、TikTokで検索する行為を指し、いま10代・20代の若者(Z世代)を中心に使われている言葉です。

近年、検索行動に変化が生じてきており、Googleなど検索エンジンでの検索(ググる)に加えて、SNSのハッシュタグでの検索(タグる)が増えてきました。そして、最近ではTikTokでの検索(トクる)が主流になりつつあります。

TikTokと言えば短尺動画を共有して楽しむSNSというイメージがありましたが、「トクる」という行動も当たり前になる程、いまTikTokは若者のライフスタイルに入り込むようになりました。パチンコ業界において、ファン創出の課題を解決していくためには若者(Z世代)の行動分析が重要となってきますので、今回は「TikTokの活用」について考えてみたいと思います。

まずは、現状を理解するためにSNSの年代別利用率を見てみましょう(参考画像参照)。5大SNSの中で最も利用率が高いのは全世代ともLINEですが、それ以外のSNSは年代によってまちまちといった状況です。TikTokを見てみると、30代以上の利用率は10%未満なのに対して10代は42・5%、20代は21・6%と他の年代と比べて高い利用率になっていることが分かります。


TikTokは、撮影から編集までの作業が一括で行える便利な機能が備わっており、フィルターや音楽をかけることも可能なことから、利用者の約4割が動画編集アプリとして利用しています。残りの約6割は、飲食店・イベント・音楽・メイク・スキンケアなど日々の情報収集でTikTokを利用しています。気軽に情報をアップするユーザーと、気になることを情報収集するユーザーの需給バランスが取れているというのが、他のSNSには見られないTikTok特有の特徴です。

この利用状況から分かるように、TikTokはユーザーの利用シーンの変化によって短尺動画を共有して楽しむSNSから検索するSNSという市場へと変貌を遂げてきています。Googleなどの検索エンジンで検索する場合は、表示された情報を絞り込んで自分に合った情報を見つけなければならないという手間が掛かる一方、TikTokは自分に合った情報がレコメンドによって自動で登場し、さらにその情報が短尺動画で見ることができます。Z世代の若者にはそういった的確さと手軽さがウケているのかも知れません。

では、パチンコ店ではTikTokをどう活用するべきか? について考えてみたいと思います。まず、前提としてTikTokは広告ポリシーによって遊技機
に関する宣伝を禁止しています。

そのため、今のところは遊技機を宣伝した集客目的以外で活用するということが前提条件となります。前述のとおり、Z世代はTikTokを検索ツールとして活用しているということは分かっているので、遊技機の宣伝以外でZ世代のニーズに合わせたコンテンツを制作する必要があります。それを踏まえた上で、私からのご提案のひとつが「求人」を目的としたコンテンツです。

社員が登場するダンスシーンやお笑いシーンなど、企業やホールの中の人を知ってもらうことでブランディング効果が発出されます。そのコンテンツに興味を持ったZ世代に企業やホールのファンになってもらうことが狙いです。

求人を目的としたTikTokのコンテンツ制作として参考となるのが、TikTokフォロワー数290万人を誇る「大京警備保障株式会社」です。著書『なぜ、人と仕事に困っているのにSNSを始めないんですか?』には、TikTokを活用した求人ノウハウがぎっしりと詰まっていますので、ぜひ参考にしてみてください。これは求人を目的としたコンテンツ制作のご提案ではありますが、「ファン創出(=集客)」にも効果を発揮するものと考えられます。

Z世代は「共感世代」とも言われており、企業や商品、サービスは、自分が共感できる背景やストーリーを持つものを選ぶという意識が強いのも特徴のひとつです。「働いてみたい会社」が「行ってみたいお店」になる可能性も十分にあるので、求人を目的にコンテンツ制作をしてみるのも良いかもしれません。

そしてもうひとつ、TikTokの活用としてご提案したいのが地域連携を目的としたコンテンツです。飲食店や美容室、フィットネスやレジャー施設など、地域の情報を発信するコンテンツを制作し、若者に向けて発信することは検索ツールとして活用するというニーズにもマッチするものと考えられます。また、地域の商業施設との関係を深めることで信頼関係の構築にもつながります。

TikTokは、広告ポリシーで遊技機に関するコンテンツを禁止していますので、遊技機を主体としたコンテンツを配信することができないというのが前提となります。そして、TikTokはZ世代の利用率が高いSNSであり、利用方法は検索ツールとして活用するというニーズに変化してきています。パチンコホールはこの2点を抑えながら活用していく必要がありますので、定着させるにはそれなりのリソースとコストが掛かってしまうものと考えられます。

しかし、Z世代との接点を作っていくには非常に有益なツールであることは否定できません。まずは、TikTokを実際に操作して仕組みを理解してみることをおすすめします。そうすれば、会社として、あるいは店舗として、TikTokをどう活用していくかが見えてくると思います。ファン創造のひとつの可能性として、TikTokに向き合ってみてはいかがでしょうか。

文=アミューズメントジャパン編集部


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