美少女キャラクターがファンを掴む
数字で見る美少女キャラクター人気

アニメや漫画、ゲーム等のキャラクター人気の高さが、見逃せないものになっている。講談社が3歳から74歳までの男女4500人を対象に行ったアンケートでは、全体の52.8％が「キャラクターが好き」と回答。成人層では20歳から34歳までの層が最も数値が高く、男性の58.7％、女性の65.4％が「キャラクターが好き」と回答している。キャラクターの需要が高まっていく中で、特に目立った人気を示しているのが、美少女キャラクターたちだ。

矢野経済研究所によると、キャラクタービジネス市場規模（商品に付帯してキャラクターを使用する権利「商品化権」と出版権、広告宣伝やイメージキャラクターとして使用する権利「版権」の合算値）は年々じわじわと拡大し続けており、2022年には2兆6198億円になる見込みだ。同社はこの理由について「商品化権については、コロナ禍の巣ごもり需要を背景にプラモデルやフィギュアが好調な売れ行きを示したこと、版権についてはアニメ視聴の機会増によりビジネスにおけるアニメキャラクターの起用が活発になったこと」だと分析している。

中でも、美少女キャラクターの人気は顕著だ。22年度（21年12月27日以降に発売されたものを指す）に発売されたアニメ作品の円盤（DVD、Blu‐ray）のうち、第1巻の売り上げが1万枚を突破していると言われている作品はすべて、登場人物の大半、あるいはすべてを美少女キャラクターが占めている作品だ。内訳は『その着せ替え人形は恋をする』『プリンセスコネクト！Re：Dive Season2』『ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』『ラブライブ！スーパースター‼』『リコリス・リコイル』の5作品（12月19日現在）。特に『リコリス・リコイル』は22年度の作品で唯一、初週売り上げで2万枚を突破している。アニメ業界では一般的に「5000枚を売り上げれば続編制作期待ライン、1万枚を売り上げれば大ヒット」と言われていることから、これらの作品が高い人気を得ていることが窺える。

アプリゲーム市場でも、美少女キャラクターの存在は見逃せない。21年2月24日にリリースされた、競走馬を美少女化したキャラクターが活躍するアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』は、リリースからわずか5日で100万ダウンロードを突破。現在では累計1700万ダウンロードを突破している。角川アスキー総合研究所によると、21年度のアプリ売り上げランキングでは約1296億円を売り上げて1位となっており、2位の『Fate/Grand Order』と約300億円の差をつけている。

アプリゲームとアニメ円盤は、互いの売り上げに相互作用する。21年に放送された、同アプリのアニメ化作品『ウマ娘 プリティーダービーSeason2』第1巻の売り上げは、約20万枚。同作品が破格の売り上げを記録できた理由について、元ブシロード執行役員でエンタメ社会学者の中山淳雄さんは「アプリ内アイテムと引き換え可能なシリアルコードが特典として付属しているため、アプリユーザーによる購入が多かったのではないか」との見解を示す。そのうえで「アニメ円盤が本棚に並び、生活空間の中で所有者の目に触れることによってアプリの存在を何度も想起させ、再度開かせる誘因となる」と語る。アプリが円盤売り上げを拡大させ、購入された円盤がアプリ起動のきっかけを作るのだ。22年度に売り上げ1万枚を突破した作品でも、『プリンセスコネクト！Re：Dive Season2』と「ラブライブ！」2作品の円盤には、各コンテンツが展開しているアプリゲーム内アイテムと引き換え可能なシリアルコードが付属している。


矢野経済研究所が商品化権の拡大要因の一つとして示した、フィギュアについてはどうだろうか。大綱（東京都文京区）が運営する日本最大級のフィギュアショップ『あみあみ』は11月22日、22年度のフィギュア売上ランキングを発表。このうち、キャラクターサイズを縮小させた、再現度の高さが特徴の「スケールフィギュア」部門では、上位3商品を美少女キャラクターの商品が独占した。1位はアプリゲーム『Fate/Grand Order』の「バーサーカー/宮本武蔵」の1/7スケール完成品フィギュア、2位と3位はアプリゲーム『アズールレーン』のキャラクター「セントルイス」と「フォーミダブル」の1/7スケール完成品フィギュアだ。中でも「セントルイス」の1/7スケール完成品フィギュアは再販品でありながらランクインしており、非常に高い人気を誇っていることが分かる。

あらゆる分野で高い人気を誇る美少女キャラクターたち。彼女たちが登場する遊技機を導入することで、根強いファンの獲得にも期待できそうだ。

※『月刊アミューズメントジャパン』2023年2月号に掲載した記事を転載しました。