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2020年12月11日
No.10002047

使用済み旧規則機 ─適正処理への道─ 第2回
買い手がつかない遊技機の処理

買い手がつかない遊技機の処理

九州回収システムの意義

使用済み旧規則機の適正処理に向けて、11月に大きな動きがあった。九州の業界5団体(日遊協、九遊連、九遊商、回胴遊商、遊運協)と処理会社1社(ユーコーリプロ)が記者会見を開き、「九州回収システム」などの適正処理プロジェクトを発表し、撤去後の旧規則機の適正処理へ意欲を示した。このプロジェクトで特筆すべき点は、5団体が一致協力し、来るべき大量撤去に備えて、ホールの倉庫(または契約先の倉庫)を空けるために不要台の早期排出を促していることにある。遊運協の協力のもと、回収範囲を新台納品先以外の周辺ホールにも広げ、不要台の排出促進を目指す取り組みとして注目される。

ホールにとっての不要台とは

そもそもホールにとっての不要台とは、認定・検定切れに伴い営業で使用できない、中古市場で買い手がつかない遊技機を指す。しかし営業で使用できなくても、枠の利用やメーカーによる下取りや買取を見込んで、多くのホールが倉庫に遊技機を抱えている。もちろん保管していることで有価物としての価値は下がり、加えて保管料がかかることも理解しているが、下取りのことを考えるとなかなか排出できないのがホールの実情だ。

処理費が出ない非加盟メーカー製の遊技機

ではこうした遊技機は通常どう処理されるのか。首都圏でホール20店舗余りを展開する法人の営業部長はこう話す。「機械の運送・保管・廃棄は一括して特定の業者にお願いしており、認定が切れて、下取りもできない機械については、業者のほうから定期的に『廃棄したほうがよい』という知らせがくる」

もっとも、日工組加盟メーカー製の遊技機であれば、不要台でも処理費をメーカーが負担する。遊技機リサイクル協会の加盟メーカー製遊技機も同様だ。問題はいずれにも該当しないメーカー製の遊技機だ。とくに液晶非搭載などの遊技機は、有価物として買い手がつかなかった場合、日工組指定やリサイクル協会指定など業界が選定するリサイクル処理業者に引き取りを断られる可能性があり、最悪、行き場を失ってしまうことにもなりかねない。処理費がメーカーから出ないためだ。

液晶非搭載機の適正処理が課題に

一方、液晶非搭載の代表的な機種である『ジャグラー』は、メーカーから下取りのプランがアナウンスされていて、メーカー責任のもとに適正処理に向き合う動きが確認されている。遊技機リサイクル推進委員会のガイドラインに則った「適正処理」へ折り目をつけているメーカーもある。

対して年明けにまでに撤去期限を迎える『ハナビ』や『沖ドキ』など液晶非搭載機には具体的プランが発表されていない。この2機種は、日工組、遊技機リサイクル協会のいずれにも属さない非加盟メーカー製だ。このままプランが示されずに撤去を迎え、かつ液晶非搭載を理由に有価物として買い手がつかなかった場合、処理費が出ないために引き取り手がない事態も発生しかねない。

冒頭の九州回収システムでは、撤去が集中した場合を視野に倉庫整理の促進が目的に掲げられていた。しかしこのシステムは日工組の広域回収システムが土台になっているため、日工組非加盟メーカー製は対象外だ。倉庫整理という目的でさえも非加盟メーカー製という点が障害となって立ちはだかる。

非加盟メーカー製でもホールが処理費を負担せずに適正処理を担保できないものか。業界ルール(前述のガイドライン)に基づく適正処理が担保されない問題が浮かび上がっている。


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