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2020年12月04日
No.10002030

使用済み旧規則機 ─適正処理への道─ 第1回
『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』の行方

『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』の行方
過去にない圧倒的な数の使用済み遊技機の適正処理が求められている

来年11月末の旧規則機完全撤去へ向けて、業界内でいま大きな課題として浮上しているのが使用済み遊技機の適正処理の問題だ。アミューズメントジャパンでは、警察庁発表による2019年12月末現在の全国の遊技機設置台数をもとに2019年12月末現在でピーワールド・インサイトが集計した旧規則機の設置割合から算出して、昨年末時点で設置されている旧規則機はパチンコ・パチスロ併せて約297万台と推測した。その後1年が経過しようとしているが、2020年は新型コロナの影響で旧規則機から新規則機への入替は当初の予測ほど進んでいない。現在、ホールに設置されている旧規則機は200万台程度とみられる。

廃棄台問題は警察庁も注視

これに現在倉庫で保管されている旧規則機を加えると、2021年に排出される使用済み遊技機は300万台以上になる。いま業界が取り組まなければならないのは、過去に例のない多台数の遊技機を適正に処理しなくてはならないという問題だ。旧規則機撤去後の廃棄台問題については、警察庁も注視する。警察庁生活安全局保安課が10月10日に余暇進に寄せた池田雄一課長補佐の講話では「過去のような野積みといった問題が繰り返されないことが求められる」と適正処理に言及した。野積み問題だけでなく、闇スロや闇パチに使用済み遊技機が使われかねないという懸念もある。

遊技機の適正処理の基準とは!?

では、使用済み遊技機を適正に処理するとはどういうことか。その判断の基準となるのが、遊技機リサイクル推進委員会(全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商6団体共管/座長:日遊協)が制定した「使用済み遊技機の管理及び解体処理に関するガイドライン」に則って処理をしているかどうかだ。ここが明確になっているのは、日工組の広域回収システムに加盟している処理会社4社と、遊技機リサイクル協会に加盟している13社、遊技機リサイクル推進委員会がガイドラインに則って処理をしていると認めた選定会社17社の合計34社。この34社に使用済み遊技機が渡れば適正に処理されることになる。

『凱旋』処理はメーカーのプラン待ち?

こうしたなか、11月から『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』が撤去期限を迎えた。撤去期限まで市場に6万台程度が設置されていたとみられる同機種だけに、排出者であるホールには適正な処理が求められる。では、実態はどうなのか。首都圏で10店舗以上を展開するホール法人の営業部長は「いまのところ倉庫に保管。メーカーからのプラン待ちで、下取りなどがなければ業者に引き渡す」と話す。ほかにも複数のホール法人や店舗に聞き取りをしたがいずれも口をそろえて「メーカーのプラン待ち」と話す。ではメーカーの下取りなどがなければどうなるのか。中には「中古機販売会社に引き取ってもらい、その後(遊技機リサイクル推進委員会の)ガイドラインに沿って処理をする処理会社に渡っていることを確認している」という法人もあったが、「その時々で引き渡し業者は異なってくるが、通常2つの業者のうち高く引き取ってもらえる方に出す。その後の行方についてはわからない」といった店舗も複数あった。これで適正処理が担保できるのだろうか。

解体業者に渡り不法処理の可能性も

日工組加盟メーカーの遊技機であれば、パチンコもパチスロも日工組のリサイクルシステムで処理費用をメーカー側が負担する仕組みができているが、『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』は日工組非加盟のメーカー製。メーカーによる下取りや買取りがないからといって、このまま倉庫に保管されたままでは、いずれ買取業者から解体業者に渡り、液晶などを外した上で不法に処理されてしまう可能性も拭いきれない。

使用済み遊技機の適正処理について、業界全体でその重要性をいまいちど認識する必要がありそうだ。


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