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パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」⑳
『コンバージョンポイント』はなぜ重要なのか?
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

Webマーケティングにおいて、コンバージョン数(CV数)を上げる施策はとても重要です。しかし最終的なゴールだけを見て施策を打っても、なかなか成果につながらず悩むこともあります。
そこで、具体的に改善すべき点を見定めるときに重要なのがコンバージョンポイントの設定です。コンバージョンポイントとは、コンバージョンに至った行動やその場所、タイミングなどを表すマーケティング用語です。あらかじめ成果の対象となるポイントを設定しておくことで、マーケティングやプロモーション施策がコンバージョンに至ったのかどうか明確にすることができます。
これは企業の目的によって異なり、マーケティングやプロモーション施策に応じて設定していく必要があります。例えば、ECサイト上で「商品を購入すること」をコンバージョンとする場合、コンバージョンポイントとしてはカートに商品を追加したタイミングや購入ボタンを押したタイミングなどが挙げられます。
さらに、認知から購入までの顧客行動の途中にコンバージョンポイントを複数設定することによって、商品に興味はあるが購入までには至らなかった見込み客や、会員登録を求められたことによって離脱してしまった見込み客を把握することができ、どのようなことが顧客の離脱につながっているのかなどの把握が可能になります。
このように、コンバージョンポイントは、自社の商品やサービスの特性をふまえ、目的やマーケティング・プロモーション施策に応じて設定することが重要です。
コンバージョンポイントを設定してコンバージョン数を向上させるためには3つの手順を踏むのが一般的です。
① 施策に応じたKGI(最終指標)とKPI(中間指標)を決定
② 決定したKPIをコンバージョンポイントとして設定
③ コンバージョンポイントをもとに効果検証を実施
前述の通り、まずはプロモーション施策に応じたKGI(最終指標)とKPI(中間指標)を定めることが重要です。仮に、最終目標が「売上増加」だとしても、その前段階の目標設定が必要になります。
次に測定ツールを活用してKPIをコンバージョンポイントとして設定します。①で設定したKPIはそのままコンバージョンを計測するための指標となります。
最後に、プロモーションを実施したらコンバージョンポイントごとに効果を検証していきます。それぞれのコンバージョンポイントの数値を確認し、原因の分析と改善を繰り返すことが大切です。
では、パチンコ店においてはどのようにコンバージョンポイントの設定を行えば良いのでしょうか。私が推奨しているプロモーションの施策を事例として挙げて解説させていただきます。
まずプロモーションの設計としては、Web広告からランディングページへアクセス、そしてLINE公式アカウントの友だち追加をしてもらう、という施策になります。そのため、KGIはLINE公式アカウントの追加と決定し、KP IはLINEのリンクにアクセスと決定します。
KGIとKPIが決定したら、Web広告のバナーデザインとランディングページを作成し、Googleタグマネージャー(Webサイトで利用するツールや広告のタグを管理するためのツール)などを使用してコンバージョンポイントを設定します。
ここまで準備ができたらWeb広告を配信し、プロモーションを実施します(この時に重要なのが、ランディングページをLINEリンクへアクセスしやすいデザイン設計にしておくこと)。
そして、最後の手順であるコンバージョンポイントをもとに効果検証を実施します。この一連のプロモーションが成功した場合に得られる成果はLINEの友だち増加となります。
ページ左上の(参考データ)をご覧ください。このデータは、ランディングページへのアクセスをKPIとした施策(2023年2月~5月)と、LINEのリンクにアクセスをKPIとした施策(2023年6月)を比較したものになります。
LINEのリンクにアクセスをKPIとした施策の方がコンバージョンは約3・5倍、コンバージョン率は約7倍、コンバージョン単価は大幅に割安、という数値であることが分かります。これはLINE公式アカウントの追加をKGIとして決定し、プロモーションをいかにLINEのリンクにアクセスしてもらえるかという設計にした結果が数値に表れています。
この数値に至るまでは当然、設定したコンバージョンポイントのデータを検証し、バナーデザイン修正やLINEリンクの場所変更など、原因の分析と改善が繰り返し行われました。
そして、この施策の時に設定したコンバージョンポイントがランディングページへのアクセスとLINEのリンクにアクセスの2つとなります。
通常、パチンコ店は集客を目的にマーケティングや広告・プロモーションを実施します。しかし、その前段階のKGIとKPIを決定し、検証ポイントに対してコンバージョンポイントを設定しておくということが重要となります。
コンバージョンポイントの数値を検証し、原因の分析と改善を繰り返すことが最終的に集客へとつながっていきます。コンバージョンポイントは、マーケティングやプロモーション施策を効率的に運用し、費用対効果を高めるためにも欠かせない指標です。適切に設定するとともに、数値・データをもとに計測していくことで、問題点や改善点を可視化でき、その後のコンバージョン数の向上にもつなげやすくなります。
Web広告を活用してプロモーションを実施する場合、コンバージョンポイントを意識して広告設計をしてみてはいかがでしょうか。
※『月刊アミューズメントジャパン』2023年8月号に掲載した記事を転載しました。
文=アミューズメントジャパン編集部