コラム

コラム内を

2023年08月04日
No.10003703

WEB広告運用に無知だと広告代理店にカモにされます
文=齋藤裕樹・プラスアルファ By Saito Yuki

WEB広告運用に無知だと広告代理店にカモにされます
さいとう・ゆうき/転職支援を行う「パチンコ転職ナビ」の責任者として、職業紹介士(第193号)とファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。同時にWeb広告を学び、Google認定アナリティクス個人認定資格(GAIQ)やAdWords認定資格も取得。現在はホールが取り組むべきWeb戦略を提唱している。

多様性の時代に求められるSNSとWEB広告の運用 vol.2

今回の原稿を担当させていただくプラスアルファの齋藤裕樹と申します。いきなり煽るようなタイトルで申し訳ございません。ですが、WEB広告について無知だったために、広告代理店に騙されたホール企業が多く存在しているという現実があります。「騙された」という表現は言いすぎだとしても、費用対効果が低すぎる結果に終わったようなケースです。そもそも、私自身が過去にWEB広告についての知識がなかったために、別事業のWEB広告を展開する中で、広告代理店の言いなりになって騙された経験があるのです。そのため、今回は私と同じような失敗をしないよう、本当にあった事例と、騙されないポイントをまとめさせていただきます。

私は、当社の事業のひとつである人材紹介事業部門が運営するサイト『パチンコ転職ナビ』のWEB広告運用と、パチンコ店に特化したWEB広告関連事業を13年間担当してきました。この13年で、Google広告やYahoo! 広告のルールは、パチンコ業界の規制と同じくらいに何度も変わってきました。それをいいことに、知識のアップデートが追い付かない広告出稿主(すなわち当時の無知な私やパチンコホール企業)に、自分たちに都合のいいWEB広告を提案する広告代理店もあったのです。ですから私は、自社だけでは追いきれない規制の変化や新商品についての最新情報を教えて貰えるという点からも、完全に内製化せずに、信用できる広告代理店と一緒にWEB広告を運用することは利点があると考えています。

前置きが長くなりましたが、今回お伝えする内容は2つです。ひとつは、過去に騙されたパチンコ店の実際の実例。もうひとつは、信用できる広告代理店に共通するポイントです。


パチンコ店の被害事例


きっかけは当社への、WEB研修のお問い合わせからでした。話を伺うと、昔から懇意にしている広告代理店にお願いして、毎月20万円使って1年ほどYouTube広告を配信しています。これを社内でも運用できるようにしたいので、その研修をしてほしいという相談でした。まず、運用中のYouTube広告の管理画面を見せていただこうとすると、Google広告の管理画面を閲覧できるのは広告代理店のみで、店舗では見ることはできないとのことでした。店舗が見ることができるのは、広告代理店から毎月送られてくるPDFレポートのみ。店舗はそれを見て判断しているとのことでした。

私は、WEB広告を代理で運用する際、Google・Yahoo!広告の管理画面を共有するのは当たり前だと思っていますので、当社は管理画面を共有しています。しかしこちらの広告代理店に管理画面を共有してほしいと依頼しても断られました。
そこで、広告代理店にZOOMでの報告会をお願いし、お店の方と一緒に私も参加し、「Google広告管理画面の一部を一瞬見せてほしい」とお願いしました。管理画面が表示されたその瞬間をキャプチャし、その数値と店舗に送られているレポート数値とを照らし合わせたところ、一致しない箇所がありました。それは、広告費の部分です。


図①を見ていただきたいのですが、広告代理店から店舗に送られたYouTube広告レポートでは、「表示回数」「視聴率」「視聴回数」などは同じですが、「費用」が大きく異なります。お店側では毎月20万円広告費を使っていたと思っていましたが、実際は約11万3千円ほどでした。約8万7千円は毎月どこへ消えていたのでしょうか。1年間運用してきたので、単純計算で広告費が100万円近く消えたことになります。

Google・Yahoo! 広告の管理画面を共有すれば、そして管理画面の読み方を知っていれば、広告代理店が嘘をつくことはできません。勘のいい方はお気づきかと思いますが、まずWEB広告の代理店を選ぶ際に最低限必要なのは、「Google・Yahoo! 広告の管理画面を共有させてもらえるか」です。こちらは必ず確認してください。
管理画面を共有したくないと断る広告代理店の言い分は、他にも、「管理画面を共有すると広告代理店のノウハウが盗まれてしまう」「管理画面を共有すると自分たちで運用されてしまう」などケースが多いです。この2つの理由はある意味で正論です。だからこそお店側は、Google・Yahoo! 広告の管理画面を共有するメリットがあるのです。


信用できる広告代理店


過去にWEB広告代理店選びで失敗した私が広告代理店を選ぶ際の最低限のポイントは、前述の通り、「広告レポートとGoogle・Yahoo! 広告管理画面を共有してくれる」ことです。イメージは図②を見ていただければと思います。広告代理店からはレポートで見やすくまとめてもらい、簡単な改善案を頂けます。また管理画面も共有しているので、正確な広告費もわかります。


このようなWEB広告代理店を使った際のメリットですが、会議や上司への報告もレポートにまとめてもらえるため、作業効率が良いです。さらには、管理画面も見ることができるため、レポートを見てわからない部分や、より細かく見たい場合には、お店側でいつでも管理画面を確認できます。自分たちで管理画面を見ることで、多くのことを学べ、自分たちで判断できるようになるのです。つまり、WEB広告代理店のノウハウも学びながら、大切なPDCAを自分たちでも一定までできるようになります。

内製化を目指すことは悪くありませんが、前述の通り、WEB広告はパチンコ店の規制と同じように常に変化しています。以前はできたことができなくなったり、また、その反対もあります。WEB広告代理店を使って、そういった最新情報を定期的に学ぶことは非常に大切です。
今回の内容が、少しでもWEB広告運用に危機意識を持っているホールの方の参考になりましたら幸甚です。


★本コラムは月刊アミューズメントジャパン2023年01月号に掲載したものです。最新のコラムはを月刊アミューズメントジャパンをご覧ください。


パチンコ・パチスロ最新記事