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2023年03月10日
No.10003331

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」⑮
リターゲティングを再び可能にする「IM‐UID」
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

リターゲティングを再び可能にする「IM‐UID」
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

今回は、Cookieを利用せずにリターゲティングを可能にするIM‐UIDとはどんなものなのか、そしてパチンコ店でどんな活用ができるのか、IM‐UIDの概要とパチンコ店における活用方法について解説します。

IM‐UIDとは、共通IDソリューションと呼ばれるまったく新しいターゲティング広告代替技術のことです。近年、プライバシー保護の観点から、これまでインターネット上で広く活用されてきたCookieの利用に対する規制が世界的に広まっています。Cookieとは、WebサイトやWebサーバーにアクセスした情報を一時的にブラウザに保存するための仕組みのことであり、ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類があります。

ファーストパーティーCookieは、ユーザーが訪問しているWebサイトから発行されているCookieのことで、Webサイト上の閲覧履歴、ログイン情報のほか、個人情報などが保存されます。ここで保存された情報は、基本的に同じサイト内で利用されます。

一方、サードパーティーCookieは、ユーザーが訪問したWebサイト以外のドメインから発行されるCookieを指し、主にWebサイト内に設置された広告に利用されています。

例えば、ある商品を検索したあとに異なるWebサイトを訪問した際、そのWebサイトの広告枠に以前検索した商品が表示されるのは、サードパーティーCookieによって情報の保存と追跡が行われているためです。ユーザーの意図しない場所でもWebサイトを横断して行動履歴を収集しています。

これが個人情報保護およびプライバシー保護の観点から問題視され、規制が行われるようになりました(情報の追跡を行わないファーストパーティーCookieは今のところ規制対象外)。

サードパーティーCookie規制による具体的な影響として最も大きいのは、日本国内でシェアの高いブラウザでリターゲティングができなくなった、ということが挙げられます。

デスクトップ、タブレット、モバイルを含む2021年5月のブラウザ利用シェアは、Chrome(44.99%)、Safari(36.43%)、Edge(8.11%)、Firefox(3.19%)、IE(3.05%)という結果です。前述の通り、Chrome(Google社)とSafari(Apple社)だけで全体の80%以上のシェアを占めていますが、この2つにおいてもサードパーティーCookie規制によってリターゲティングは不可となっています。これは、国内で多くの方が利用しているiPhoneにおいても、実質リターゲティングはできていないということです。

このような背景から、各媒体社および計測ツールは独自でCookie規制への対策を急いで進めています。そんな中、サードパーティーCookieに依存しない共通IDソリューションとして、株式会社インティメート・マージャーからリリースされたのがIM‐UIDです。

では、「パチンコ店でどんな活用ができるのか」ということについて見てみましょう。パチンコ店がIM‐UIDを活用する最大のメリットは、「iPhoneでリターゲティングが可能になる」ということです。

現在でも、工夫をすればリターゲティングによってiPhoneへ広告配信をすることは不可能ではありませんが、IM‐UIDを活用すればすべてのアプリケーションへパチンコ店からの広告を配信することができます。


リターゲティングというのは「リスト化したユーザーへ広告を配信する」ということを可能にするので、集客において非常に高い効果を発揮する広告施策であると言えます。一方、デメリットとしては、Cookie利用時と比較して類推制度91・5%であることが挙げられます。Cookieを利用したリターゲティングよりも約10%精度が落ちるということが前提条件となります。

また、サービスが開始されてからの歴史が浅いということで蓄積データが少なく、ユーザー分析が不十分という一面もあります。インプレッションなどのパフォーマンスが狙い通りにいっていない時に「なぜそうなったのか?」を掴み取れないケースも考えられます。

しかし、それらのデメリットは実施件数が増えるにつれて分析が進み、デメリット要素は薄まります。IM‐UIDはデメリットよりも「iPhoneでリターゲティングが可能」というメリットの方が大きいので、現状でもプロモーションで活用する価値は十分にあります。

IM‐UIDの当面の活用方法としては、既存のWeb広告を主軸として活用しながらiPhoneへの配信を目的とした補助的な活用を推奨しています。

CFYでは既に、パチンコ店においてIM‐UIDを活用したリターゲティングを実装しています。予算消化を見ながらインプレッション、クリック、CTR、eCPM、CPC、CVR、CPAなど、実装データの分析を進めています。それによって、例えば「CTR・CVRに大きな差はないがCPCが20円の差がある分CPAにも900円の差がでる結果となった。コンテキストはユーザーを特定する配信よりもパフォーマンスは若干落ちてはいるが、iPhoneにも届くことを考えると許容できる」などといったことが見えてきました。

引き続き分析を行い、パチンコ店で活用価値があると言える実装データや分析結果が出揃ってきたら、事例紹介として取り上げたいと思います。また、IM‐UIDについて詳しく知りたい、または現状の実装データをご覧になりたいという方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちら。
https://cfy.jp/contact/contact.php


※『月刊アミューズメントジャパン』2023年3月号に掲載した記事を転載しました


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