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2022年08月04日
No.10002991

ESG経営を始めよう! ③
社会に誇れる企業にするためにESG経営に取り組んでください

よこやま・かずお 1937年愛知県生まれ。59年税理士試験合格。60年日本大学商学部(二部)卒業・横山税務会計事務所開設。63年公認会計士試験合格。91年東京理科大学経営学部教授(2017年まで)。その他、日本大学、横浜国立大、上智大学などの非常勤講師や国税庁税務大学校などの講師を務める。05年からPTB監視委員会(現評価委員会)の委員長。

INTERVIEW②
PTB評価委員会委員長/
公認会計士  
横山和夫さん

──PTBの設立目的とESG経営に共通点はありますか?

横山 PTBは2005年、ホール企業の社会的地位の向上のために設立されました。法律、会計、経営の専門家から成る評価委員会を置き、評価基準を作成し格付けを実施。指導や勧告を通して企業価値の向上を支援することで、社員企業の株式上場をめざしました。ESG経営は、こうした面でPTBの設立目的と重なる部分が少なくありません。PTBが発足時から、社会、環境、組織の問題など10の分野で125項目(現在は93項目)に関して格付け評価を行っている点もその一つです。ESG経営同様その対象は財務分野だけでなく、ガバナンス、リスク管理、社会的要請など非財務の分野にも及びます。今から考えると、20年近く前にこうしたことの重要性に着眼し、PTBに入社したホール企業のオーナーさんが持っていた先見の明に驚くばかりです。

──ホール業界に限らず、成長をめざす企業にとってESG経営はどのように位置づけられますか?

横山 例えば、企業の社員が200〜300人くらいになると、コンプライアンスの遵守が求められるようになりますし、さまざまな分野で業務改善を行っていく必要が出てきます。さらに、上場をめざしていくならば、ESG経営が、企業価値を高めるための有効な手段となります。一方、小規模な企業のほとんどは、上場をめざすような体制にありませんから、ESG経営の取り組みよりも製品の開発や販促といった目の前にある課題を優先することになります。もっとも、小さな会社でも、ITベンチャーのように創業時から上場をめざしていく企業では、ESG経営に取り組むことが、上場への近道となります。

──ほとんどのホール企業は、上場とは無縁です。上場をめざない企業にはESG経営は必要ありませんか?

横山 確かに、「上場をめざさなくてもESG経営は必要」と言い切れません。実際、中小のホール企業にとってESG経営の中で非財務の分野は抽象的で、達成が難しい項目も多々あります。しかし、ESG経営によって得られるものは少なくありません。そこをどう実現していくかが、これからの課題ではないかと思っています。

──ホール企業は、ESG経営によって何が得られますか?

横山 財務回りの安定と対外的な信用、そして社員のモチベーションの向上です。一般の上場企業よりも余程しっかりとした経営をしていても、中小のホール企業では、まだまだ大卒の学生を多く採用できない。会社の将来を考えると、不安になる経営者の方も多いのではないでしょうか。ESG経営は、社会的な信頼感を高めていくための道しるべです。経営が安定していて、社員の志気も高い。本人だけでなく、親御さんが「自分の子供をぜひ入社させたい」と思えるような企業にしていくために、ぜひESG経営を取り入れていただきたいと思います。

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年8月号に掲載した記事を転載しました。


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