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2024年05月20日
No.10004338

顧客負担を減らしてパチスロのさらなる活性化を
スマスロ 低中単価機の充実がポイントに!!

顧客負担を減らしてパチスロのさらなる活性化を

スマスロの登場以降、パチスロの好業績が続いている。だが、やや懸念される点は、高単価なスマスロ機比率が高まっていることだ。今後も高単価なスマスロ機のリリースは続く。ユーザー負担を減らして客数・稼働を維持するために、中・低単価なスマスロにも目を向けたいところだ。

週刊アミューズメントジャパンは5月27日号で、ゴールデンウイーク営業のホール業績を報じた。DK-SISのデータでは、全体の業績は前年比でほぼ横ばい。パチスロはアウトや粗利が微増となった。

パチスロでは昨年来、スマスロが活況を見せたことでアウトシェアや粗利シェアが大きく向上。6号機初期の不調を脱した状況となった。流動性の高い客層に支持されるパチスロでは、各ホールのプロモーションが活気づいている。

ホールの稼働を支えている主軸機は、山佐の『モンキーターン』やサミーの『北斗の拳』といったロングラン機種に加えて、大都の『押忍!番長』といった時々の新台だ。

さらにはこの春に増産されたスマスロ第一弾の『ヴァルヴレイヴ』。主要ホールの多くが増台したが、アウトは順調に推移している。同じくSANKYOの『からくりサーカス』も人気は根強い。

前者(モンキーターンなど)は直ATタイプであるのに対して、後者(ヴァルヴレイヴなど)はCZを経由してATを目指すタイプ。後者で出玉の塊を目指すには、そこから上位ATに突入させる必要がある。

前者は想定コイン単価が3円前後のバランスタイプ、後者は4円前後の一撃タイプと、同じスマスロAT機でありながら、やや異なるカテゴライズと言えよう。現在のパチスロ市場はこうしたAT機に加え、2円前後のノーマル機(主にジャグラーやハナハナ)が加わり、全体として20円パチスロのコイン単価は2.8円程度で推移している。

今後も高単価機種が続々と


これから盆商戦に向けて、各メーカーは新機種販売を本格化させていく。そのラインナップを見ると、パチスロの注目タイトルではコイン単価3円後半から4円以上の高単価機が大半を占める。販売予定台数ベースで見ると、約8万台の高単価機がパチスロ市場に投下される計算だ。つまり今後のパチスロ市場では、台数比率が高単価AT機に偏重。コイン単価の上昇を招くと予想される。

高単価のパチスロは、ファンがホールに来店する大きなモチベーションになっていることは間違いない。弊社で独自に複数のホールに聞き取り調査を行い、その中で「抽選で並んだパチスロ客」がどの機種を打つかを尋ねたところ、『ヴァルヴレイヴ』や『からくりサーカス』などの回答割合が高かった。こうした初遊技比率が高いことも、高単価機種が大きな来店動機になっていることを裏付ける。

「こうした機種は万枚やコンプリートの達成が現実的なので、設定を入れて使う日は多い。広告での訴求効果も高い。ただし意図しても出ない、逆に低設定で誤爆するなど安定はしないが」(名古屋・店長)

「粗利を確保してくれる高単価機が稼働してくれれば、その他の機種の放出予算を捻出できる。高単価機でいかに集客できるかは重要」(埼玉・営業部長)

高単価機種の魅力はその一撃性の高さにあるが、反面、勝ち率を高めることには限界がある。設定6の勝率は50%をやや超える程度。来店頻度の高い客が日常的に遊技する「定番機」には向いていない。

粗利貢献度が高く、来店目的性も高い機種カテゴリーに力を入れることは、ある意味当然だ。しかしそこに注力するあまり、全体のスペック別構成比を崩してしまうと、ユーザー負担が大きくなってしまうことが懸念される。パチンコでここ数年経験してきたことでもある。大切なのはバランスだ。

ユーザーの疲弊を懸念する声も

関東でも屈指の高稼働店を有するホール企業の営業部長は、「業界の常でPが悪くなるとSが上がり、上がった方では徐々に単価が上がる。最終的には疲弊したユーザーの客離れにつながる。この流れは長年経験してきたことだ。今はPとSの両方で単価がずっと上がり続けていて、以前よりも悪い。一つ何か当たると、馬鹿の一つ覚えのように高単価機ばかりリリースするメーカーと、それに喜んで食いつく我々ホールが作っている悪循環だ」と自嘲気味に話す。

パチンコのLT搭載機はスマスロ高単価機種との回遊性が高く、「勝率は低いが勝ち額は大きい」という点で共通している。いつの時代もパチンコ・パチスロの離脱モデルは、連敗して大きな金額を負けてしまうこと。基本的に高粗利運用であるお盆商戦から年末に向けて、稼働は例年低下する傾向にある。この間にユーザーの投資額を抑える受け皿がないと、お盆以降は一気に稼働割れする恐れがある。

低単価機で稼働確保

そこで目を向けたいのが、従来の高単価機よりも投資額を抑えられて、かつ一撃性も望めるパチスロAT機だ。コイン単価で言えば、現状で供給が少ない2円中盤~後半。今後はこの空白地帯に、ユーザーのニーズが生まれてくる。あるいはすでに顕在化しつつあるのかもしれない。

都内のパチスロ専門店店長は「人気はコイン単価3円~4円のAT機と、2円を切るノーマル機に二分化されているが、AT機でも遊びやすい機種があれば、高単価AT機で疲弊したお客様の受け皿になるのではないか。現状、そのカテゴリーがないだけに、うまく活用すればファンに支持される可能性は大いにある」と話す。こうした声はほかにも少なくない。

こうしたコイン単価帯の機械は、今後のラインナップにそこまで多くないだけに、希少価値がありそうだ。その一つがKYORAKUからリリースされる『D4DJ』。簡単に同機種に触れておこう。

「D4DJ」(ディーフォーディージェー)はDJをテーマに、アニメ、ゲーム、声優によるライブなどさまざまなメディアミックスを展開するブシロードのプロジェクトで、パチスロのメイン層である若年・中年層の認知度が高いコンテンツだ。

スペックは以下のとおり。

AT確率: 1/270.5(設定1)~1/191.3(設定6)
コイン単価:2.6円(設定1)
千円ベース:34G/50枚
純増1.3枚のAT(D4FES)と4.3枚の疑似ボーナスで出玉を増やすタイプ。ボーナス消化後にはボーナスのループ(ST)に期待でき、STを抜けるとATに再突入する。

MY:2606(設定1)
MY単価:1020(設定1)
出玉率:114.9%(設定6)
勝率:93%(設定6)


軽めのTSや高めのベース設計で、遊びやすさを体感しやすい。ATへの経路は『モンキーターン』や『北斗』で人気の直ATタイプ。遊びやすい低単価としての要件を満たしている。さらに設定6の勝率は93%で、出玉率は114.9%。「当たれば大きな出玉も」という期待感も備えている。ホールとしても“上は素直に動く”という点で、運用しやすいだろう。

実際には投入率が最も高い「設定1」でも、MY単価は1020。低単価ながら差玉を目指せるタイプで、高頻度ATプレイヤーの受け皿としての役割を果たす設計となっている。こうしたカテゴリーこそ、ユーザーは望んでいるのかもしれない。

同機種の納品は8月4日を予定している。

文=アミューズメントジャパン編集部


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