リブランディング戦略で攻めるニューギン

Interview
ニューギン販売
金海晃和 専務取締役 営業本部長


ニューギングループは、東京・上野ビルを3月28日に竣工した。「あそびにマジメ」の経営理念のもと、新たに『お客様の想像を超えていこう』というグループミッションを掲げて目指すのは、時代をリードする革新的な発想を持った企業だ。今後の展望をニューギン販売の金海晃和専務に聞いた。


新井宏明氏が2022年にニューギンホールディングスの社長に就任した際に、掲げたグループミッションは「お客様の想像を超えていこう」。それを体現するために、営業に求めたのが「物売り」からの脱却だった。ホール経営の視点に立って、想像力を喚起するような情報をホールに提供すること。今回の上野ビルのリニューアルは、その想いを具現化するための手段の一つだという。

金海専務はショールームの在り方について、「上野ビルは築20年以上が経ち、今では遊技機の販売方法も20年前と比べて大きく変わった。新しい上野ビルは、これまでのショールームの概念を捨て、情報発信基地やコミュニティの場として活用したいと考えている。ただ遊技機を見に来る場所ではなく、業界の未来を提案できる場所にしたい」と語る。

上野ビルリニューアルは、古い体質を一掃して新たなサービスを提供するための布石。これまでのショールームと言えば、広い空間に最新機種が並んでいるだけというイメージだったが、リニューアルされた上野ビルは顧客の要望に対応すべく、大小さまざまな部屋を用意した。特に入り口に設置された「コクーン」と名付けられたエリアと、2階の「ルーム0」は、ホールの想像力を喚起してニューギングループが新たな提案を行うコンセプトルームになっている。

新社長の就任後、同社では遊技機開発における、スペックやハード、ソフト面など、あらゆる分野の基礎研究を行う専門チーム「先端技術ラボ」を創設した。「感動は既存のモノからは生まれない」をテーマに、全く新しい発想でパチンコ・パチスロを開発する。


「これまで個々で行っていた基礎研究分野を組織的に管理・統括することで、案件発生から市場導入まで、よりスピード感を持って取り組むことができた。夏以降導入が予定されるスマスロでは、その成果をお見せできると考えています」（金海専務）

遊技機開発の分野以外にも、営業面での業務効率化や業務制度の向上など、グループ全体でもDX化に向けた取り組みも進めている。

ニューギングループの営業は、直販率が90%を超えているのが強みだ。全国のホールの声を生で直接聞くからこそ、生まれるサービスは少なくない。その一つがECOパチで、新台購入だけでなく中古機での購入であってもECOパチによるシリーズ機への転用が低価格で行える。その最たる例が『CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃-』、高稼働したヒット機を低価格で販売できるのはニューギングループの販売網ならではだ。新サービスのECOひいきもホールから支持を得ている。

これまでの営業マン個人の力量に任せた営業ではサービスに偏りが出る。そこで、営業支援システムの導入を検討。営業を見える化して、属人化を解消することが狙いだ。案件の進捗状況や課題などは全社で共有され、スピード感のある対応で改善を目指す。

ホール向けサービスの向上で、自社の強みをより活かすために力を入れているのが、カスタマーセンターの充実だ。カスタマーセンターには、同社直営店の経験者をスタッフとして揃えた。ホールからの相談に適切に対応するだけでなく、その相談を「研究開発本部」にフィードバックすることで改善点を洗い出し、新機種開発に役立てている。

「次回の新枠はカスタマーセンターやECサイトの取り組みをもとに、先端技術ラボと協力して完成させた自信作。わずかな期間で納得のいくものができた」（金海専務）

独自のECサイトも立ち上げた。遊技機のトラブルシューティングや、部品の交換手順書を公開することでホールの運営をサポートし、24時間対応する。ECサイトではほかにも、ホール内装飾のデータやアンケート機能なども用意して、ホール向けサービスの掘り起こしに役立てる。

新たな取り組みは、これだけではない。これまで、ニューギン販売内にあったマーケティング部を開発側に移動。マーケティング部と研究開発本部が密に連携をとることで、ファン目線での遊技機開発をより充実させる。

「ニューギングループでは、遊技機の販売だけでなく、多角的に業界を盛り上げていきます。まずは情報発信基地として生まれ変わった上野ビルに来ていただいて変化を体感してもらいたい。ファンが待ち望むあの新機種の登場と、ニューギンの2024年に注目してください」（金海専務）