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2023年07月21日
No.10003679

もっと働きやすく、もっと選ばれるためのSDGs⑥
想いを言葉で伝え、人の心を動かす
SDGs&Career 赤羽良太

想いを言葉で伝え、人の心を動かす
あかばね・りょうた 1981年11月19日生まれ。拓殖大学在学時、ジャパンニューアルファにアルバイトとして入社。卒業後社員に登用され、総務部長兼採用担当を務める傍ら、2022年2月から個人事業SDGs&Careerとしてパチンコ業界へのSDGs推進の活動を始める。大切にしている言葉は「1人の100歩より100人の1歩」

第5回ではSDGsへの誤解と題してCS RとCSV、そしてSDGsの違い、そして取り組む上での大切なポイント「Why」についてご紹介いたしました。今回は「Why」の重要性についてお伝えいたします。

人を動かす最強のツール「WHY」

言葉に心が動く瞬間、応援したいと思える瞬間を感じたことはありませんか?Whyを言葉で伝える。これはSDGsに取り組む上で非常に重要なポイントと言われています。

ではWhyとはなんなのでしょうか? それは個々、そして組織の想いです。お金儲けだけではない、SDGsに取り組む想いを伝えることがポイントとなります。

Whyはこのように表現できるとされています。

〇〇することで〇〇になる

SDGsを通じて私たちの業界がもっと社会に愛され、応援されるようになることで、業界に関わるみなさまの次世代にも続く明るい未来につながる。今の私の想いを言葉にすると、この表現がしっくりきます。

私は想い描く未来を実現するために、ゲーミフィケーションや経済的なメリットを伝達することで、SDGsに取り組む有用性を知っていただく活動に取り組んでいます。

Whyに共感いただくことで地域の方々が、ナラティブコミュニティ(物語共同体)として、私たちの業界を応援してくれる強いファンになると考えています。

心を動かす伝え方
「ゴールデンサークル理論」


Whyを言葉で伝えるため、世界的に有名な講演会「TED」でも講演を行なったサイモンシネック氏が提唱するゴールデンサークル理論をご紹介します。この講演は「TED」のYouTubeチャンネルで、1700万回以上再生(23年4月現在)されています。

サイモン氏は新しい取り組みに対して周囲や顧客からの共感を得るためには、自身のWhyを理解し、そしてWhyから伝えることが重要にも関わらず、大半の組織や人はWhatから伝えていると話しています。

ゴールデンサークル理論での伝え方は次のように紹介されています。

世界で共感を生む偉大な組織やリーダーの考え、行動、伝え方はすべてこの定式に当てはまり、これは世界でもっとも単純なアイデアかもしれないと言われています。

人の心が動くメカニズム

「私たちのコンピュータは素晴らしく、美しいデザインで簡単に使うことができます。おひとついかがですか?」

この文章をゴールデンサークル理論で表現すると次のように変化します。

「私たちのすることはすべて世界を変えるという信念で行なっています(Why)。私たちが世界を変える手段は美しくデザインされ簡単に使えて親しみやすい製品を生み出すことです(How)。こうして素晴らしいコンピュータが生まれました。おひとついかがですか?(What)」

Apple社の事例を取り上げさせていただきました。どちらの文例に好感を持てましたか。生物学の原理に基づいても、人は何(How/What)よりも、なぜ(Why)から始まる言葉に突き動かされると言われています。

人間の脳には大脳新皮質と大脳辺縁系が存在し、前者は合理的・分析的な思考と言語を司ることからWhatに影響を受けるとされ、後者は情動を司りWhyやHowに影響を受けると言われています。

人の心を動かすには外(What)から内(Why・How)ではなく、内(Why)から伝えることが重要という考え方がゴールデンサークル理論です。

※クリオンライフハックより引用

ワークで想いを言葉に

Whyを言葉で伝えるため、その想いを表現することができるワークをご紹介します。

SDGsトークは、SDGsを理解するための対話型コミュニケーションカードワークです。

5つのP、[People(人間)][Prosperity(豊かさ)][Peace(平和)][Partnership(パートナーシップ)][Planet(地球)]でカテゴライズされた40の問いカードと「心理的安全性」に関する研究を参考にして設計された「共感」「納得」「応援」「驚き」「スペシャル」の5枚のリアクションカードを活用して、SDGsへの理解を深めるものです。

ブロックワークは、手を使うことで無意識にある想いを形にできるワークです。

心の奥に隠れた内観がブロックを用いて立体化された作品となり可視化されます。作品を通して内観を語り、他のメンバーは作品をさまざまな視点から観察し、物語を聴き、質問を行なうプロセスで自分の内観や他者の内観に気付くことができます。

このようなツールを駆使することで、より楽しく真剣にSDGsへの理解を深めていくことが可能になります。

時代が求めるニーズに適応することは、業界にとってプラスになると信じています。1人の100歩より100人の一歩、少しずつでもみなさんの取り組みに関わっていけたら嬉しく思います。


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※『月刊アミューズメントジャパン』2023年6月号に掲載した記事を転載しました。