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2023年01月10日
No.10003224

TOP INTERVIEW
新生「京楽」が提供する新しい付加価値

新生「京楽」が提供する新しい付加価値

株式会社 京楽
矢部伸一郎 代表取締役社長

1974年の創業以来、足掛け50年にわたりパチンコ・パチスロの島補給設備「サーキットシステム」を主軸にホール内の設備機器を手掛けてきた株式会社京楽が、スマート遊技機時代を見据えて新たなスタートを切った。「ホール様向けの総合商社」と自社を位置づけサーキット事業部を率いる矢部伸一郎代表取締役社長に、今後の事業展開を聞いた。(文中敬称略)


──スマートパチスロを皮切りに、いよいよスマート遊技機時代が幕を開けました。スマスロの状況をどう見ていますか。
矢部 とても良いスタートが切れたと思っています。スマスロは現行機よりスペックが良く、ゲーム性も幅が広がることから、この結果はある程度予想はしていました。一方で、導入にあたって機械代はもとより、専用ユニット、HC‐BOXの設置や周辺機器の変更などホール様のコストは増加してしまいます。そうしたご負担をいただくわけですから、現場においてはミスが無く、効率よく設置工事ができるように務めてきました。当社としても今後、次世代を見据えてスマート遊技機の普及に貢献していければと考えています。

──スマート遊技機は次世代遊技機として大きな可能性を秘めていると思いますが、これまで使われていた設備が必要なくなるという側面もあります。
矢部 おっしゃる通りですが、逆にこれはひとつのチャンスだと捉えています。もちろん、当社のメイン商材である玉・メダルの研磨、搬送といった装置がなくなってしまうことは、私たちにとって、とても大変なことです。しかしそれによって、有効なスペースが生まれたり、店内の騒音レベルが下がったり、お客様が直接玉やメダルに触れる必要がなくなったりと、これまでにはないホール環境になっていきます。そこに新しいビジネスチャンスも生まれると思っています。

──矢部社長はメーカーである京楽産業.の営業本部長も務めていますが、最近のパチンコ・パチスロの状況についてはどう見ていますか。
矢部 2018年の規則改正以降、パチスロの6号機が苦戦をする中、ゲーム性が向上したパチンコ機が徐々に登場してコロナ禍以降を牽引してきました。その後、6・5号機が登場するとパチスロが盛り上がりを見せ、スマスロの登場もあり、現在は更にパチスロの熱が上がっている状況です。これまでは盛り上がりを見せるのはパチンコかパチスロのどちらか一方ずつでした。過去30年間を振り返っても、両方が同時に大きく変わったことがないのも事実だと記憶しています。そのなかで、スマート遊技機によって、パチンコ・パチスロがどちらも進化した遊技機として同時期に市場投入されるわけです。これは業界の歴史上初めてのことではないでしょうか。

島に「動かせる」という概念を
『フレキシブル』


──そうした状況の中で、今後の店舗づくりでどんな提案ができると考えていますか。
矢部 スマート遊技機では玉・メダルの補給装置が必要なくなり、配線などの工夫が必要ですが、島を動かすことは可能になります。そこで当社では、『FLEXIBL
E!』(フレキシブル)という商品を開発しました。これまで固定されていた島に「動かせる」という概念を持たせ、自由に移動することができる島です。これにより、例えば新台入替をした機種の通路を少し広げてアピールしたり、通路を大きく広げてそのスペースを有効活用していただいたりと、ホール様のアイデア次第でさまざまな活用が考えられるようになると思います。災害時には島を移動して大きなスペースを作ることで、ホールを避難所として活用していただくこともできるでしょう。

──スマート遊技機では島の概念も変わるということですね。
矢部 パチスロでは島端の補給機がなくなりますし、パチンコでは島上のタンクや島内のレールもなくなるので、島高が低くできます。長さや高さの制限がなくなることで、省スペース化や自由な設計が可能になり、デザイン性も向上します。今までと違ったことが出来るようになりますので、ホール様のご要望に合わせてご提案させていただきます。

手軽にPS設置比率を変更
『エクスチェンジ』


──来春にはスマートパチンコも登場する予定です。パチンコ・パチスロともに現行機とスマート遊技機が並走する時期がしばらく続きますが、設備メーカーとしてどのように対応していく考えですか。
矢部 多くのホール様の声をお聞きすると、いま一番悩んでおられるのがパチンコとパチスロの設置比率です。これまでは一度島を作ってしまうと、パチンコからパチスロへ、パチスロからパチンコへの変更は、大掛かりな工事になっていました。そこでスマート遊技機に対応する『EXCHANGE!』(エクスチェンジ)という新商品も開発しました。これはパチンコとパチスロそれぞれのアタッチメントを入れ替えるだけで、パチンコ島とパチスロ島を簡単に変更できる島ユニットです。。スマート遊技機では4センチ幅のマルチタイプの兼用ユニットを使用できるので、ユニットも、紙幣搬送もそのままで、パチンコ島とパチスロ島を変更できます。難しい作業はありませんのでホール様ご自身でも島の変更が可能となります。ホール様のコスト負担を最小限に抑えた形でパチンコ・パチスロの設置比率を変えることができます。同じ島にパチンコ、パチスロを1台ずつ交互に設置するといったことも可能になるので、パチンココーナー・パチスロコーナーという概念がなくなるかもしれませんね。『エクスチェンジ』はいかにホール様の投資効率を上げるかを考えて開発した商品です。『フレキシブル』と併せて、さまざまな形状の島や雰囲気作りが手軽に実現できるので、ホール様が遊技機やサービスはもとより、島設備でも差別化を図っていくことができると考えております。

──これまでホールのカタチは画一的でしたが、アイデア次第でより店舗の考え方を伝えられるようになりそうですね。
矢部 まさにそう思います。スマート遊技機が中心になっていくと、かつて多くあった駅前や商店街の小規模店舗が復活するのではないかという思いもあります。業界内では「コンビニパチンコ」というワードも聞かれるようになりましたが、もっと身近にパチンコやパチスロを楽しんでいただけるような時代に戻って欲しいものです。そうした店舗が増えていけば、メーカーもそのニーズにお応えするために、遊技機もバラエティーに富んだものが生まれてくると思います。かつての「ちょいパチ」のような本当にお手軽に、簡単に楽しめるような遊技機ですね。ホール様が起爆剤となって、元気がなくなってしまった街に、また多くの方が集まっていただけるようなきっかけになってくださればと願っています。

玉・メダル・循環の原点を
ロゴマークに込めて


──今後は設備機器メーカーとしてホールに対してどんな価値を提供していきますか?
矢部 ホール様がその地域になくてはならない存在になっていただくお手伝いができればと考えています。島設備だけでなく、ありとあらゆるものを扱える総合商社のような位置づけですね。例えば駐車場にEVの充電設備を設置したり、宅配ボックスの機能を備えたり、災害時には避難所や物資運搬の拠点となったりと、ホール様がその街のホットスペースになって、地域の皆様に愛される存在になれるお手伝いができればと思っています。スマート遊技機を機に、そうした新しい時代に向かっていく決意を込めて、新商品を販売するタイミングで企業CIを刷新しました。

──新しいロゴマークにはどんな意味を込めたのでしょうか。
矢部 京楽産業.グループのロゴマークは、エクスクラメーションマークが2つで「モア・サプライズ」という企業理念を表しました。「!!」マークは、下の丸がパチンコの玉で、上の長い方が玉の軌道を示したものです。株式会社京楽では、さらにその周りを玉とメダルが循環している様をあえて表現しました。今後玉やメダルはなくなっていく方向ですが、私たちの原点であり、アイデンティティである玉、メダル、循環を忘れることなく、誇りを持って業界に貢献する意気込みを表現しました。

──最後にホール関係者へのメッセージをお願いします。
矢部 先ほども申し上げましたが、今後は新しい時代に向けて島設備だけではなく、さまざまな商材を取り扱うことで、これまでにない価値をホール様にご提供していきたいと思っています。どんなことでも結構ですので、弊社の営業マンにお声がけください。そして、これからも株式会社京楽をよろしくお願いいたします。


※『週刊アミューズメントジャパン』2023年1月1日号に掲載した記事を転載しました。



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