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2022年10月13日
No.10003081

MIRAIぱちんこ産業連盟
MIRAIが共同購買に取り組む理由
目標はインフラや遊技機の取り扱い

MIRAIが共同購買に取り組む理由
左から、MIRAIぱちんこ産業連盟の岩瀬氏、MIRAI効率化委員会の福井委員長(リッチウェル)、共同購買研究部会の田村部会長(ダイナム)、古賀副部長会(ダイナム)

MIRAIぱちんこ産業連盟は昨年9月から、非会員でも無償で参加できる共同購買を開始した。参加企業が個別に購入している商材の購入情報を共有し、最安価で品質の良い商材を多ロットで購入。一社当たりの仕入れ単価を低減する。同連盟で共同購買に携わる4人に経緯や目的、メリットを語ってもらった。

MIRAIの福井宏彰理事は「ホール2団体が合併してMIRAIとなるにあたりホール企業数も増えることで、なにかしらのスケールメリットを生み出せないかと考えていた。仕入れコスト削減、効率化といったところは、それぞれの企業に共通性があるはずということでスタートしました」と共同購買事業を開始した理由をこう語る。

共同購買の目的は、参加企業が同一商材を多ロットで購入することにより、備品や消耗品をはじめとした各種商材の仕入れ単価を低減すること。将来的には賛同企業数拡大によるロットの大幅増、対象商材の拡大、物流機能の共同構築を通じて大幅なコスト削減を実現することにある。

共同購買に参加したい企業はまず、説明会に参加して申込書を提出。アスクルが取り扱うオフィス用品のほか、一般流通品全般の購買にボリュームディスカウントと購買管理機能が付加された購買システム『ソロエルアリーナ』を使用するため、販売店と契約し、プラットフォームを構築する。その際のイニシャル・ランニングコストはともに無償。希望する商材の選定と各種手続きを行い、ソロエルアリーナの設定を済ませば商材の調達を開始できる。

MIRAI内で共同購買を担当するダイナムの購買部・古賀辰広マネジャーは共同購買実施の経緯について「昨年の5月から検討していて、8月にはMIRAIの効率化委員会で共同購買の目的や目標といったところを提案させていただいた」と話す。

全国に396店舗を展開するダイナムでは、消耗品や設備のロット交渉がある程度まとまっている。その商材の価格を目安に、他企業でも同価格で購入できる商材をつくれないかサプライヤーに交渉した。

「多くの企業様が自社と他社の仕入れ価格を比べたことがないと思いますし、どれくらい安いのか、もしくは高いのかというところがわからない。そこで弊社と取り引きがあるサプライヤーさんにお願いして、参考となる商材を用意してもらいました。効率化委員会への提案後、すぐに共同購買分科会(現・共同購買研究部会)を組成していただいて協議を重ね、ニーズを聞いたり、商品を増やしたりしています」(古賀マネジャー)

スタート時点ではアルコールやペーパータオルといった消耗品を商材として用意。その後少しずつ商材を拡大し、現在は消耗品、設備備品、設備点検工事を含めて20を超える商材があるという。希望商材は共同購買研究部会で提案可能。当初の参加企業は15社だったが、現在は会員・非会員企業を含めた21社が共同購買に参加している。

商材の価格は、安くても品質にもこだわっている。共同購買研究部会では、商材の比較ができるようにサイズや素材、発注の単位などを記入した仕様書のフォーマットを作っている。各企業で使用している商材のサンプルを持ち込んで、サイズ、手触りなどを比較して選ぶこともあるという。

ホール業界では古くからの付き合いで、取り引き業者が決まっているケースがある。だがMIRAIの共同購買なら、商材一つから購入が可能。例えば、「ペーパータオルは取引先が決まっているが、消毒用アルコールは取引先が決まっていないので少しでも安く仕入れたい」という希望も叶えてくれる。


参加デメリットはなし
MIRAIの仲間を募集


MIRAI事務局の岩瀬史朗氏は「少し前からの話ですが、パチンコ企業が消耗品などの商品を購入する場合、一般企業が購入している金額の何割か増しになるという業界価格があります。これをMIRAIが先頭に立って打破していきたい。金額の差異をなくし、コスト削減をした分、未来に投資を回せるようになれば。MIRAIの合併前からコスト削減については取り組んできましたが、これだけの企業様がまとまって取り組んでくれているのは初めてで、大きな意味があります」と話す。

この共同購買は無償で参加できる上に、欲しい商材だけを購入できるのでデメリットは一切ない。参加企業が増えれば増えるだけ、多ロットで発注できるので、仕入れ価格はさらに安くなる。

古賀マネジャーとともにMIRAI内で共同購買を担当するダイナムの購買部・田村恒一部長は「正直に言うとダイナムにはまだメリットがないので、怪しまれることもあります。ですが、参加企業が100社、150社となり、総店舗数が1000店舗、200 0店舗と増えてきたら、弊社に限らず、参加する企業様もさらに安く商品を購入できる。参加企業が増えないとメリットは出ないですし、参加企業を増やすには情報を正しく伝えないと賛同してもらえない。今は共同購買の魅力を高めて、情報を発信していくことに注力しています」と語る。

各企業の購買部や管理部といった部署が動かなければ、コスト削減は実現しない。いまは実利を得られていないとしても、動かなければ業界の未来は変わらないというのがダイナムの取り組む理由。現在、メインで取り扱っているのは消耗品・設備関係だが、今後は景品やインフラ、最終的には遊技台を共同購買で取り扱えるようになるのが目標だという。

「最初は着手しやすい消耗品からスタートしましたが、インフラや遊技台といったコストメリットが大きく出そうな商材を扱えられるようになるのが目標です。企業を問わず、共通化できる商品や、ちょっとした情報を交換するだけでサプライヤーさんと交渉できるものはあると思います。そのあたりが制御できたら、設備だろうと、インフラだろうと、遊技機だろうと、交渉していけるようになると思っています。MIRAIにはそんな業界の明るい未来をともに創っていく仲間が集まっています。その仲間が共同購買を通じて増えてくれれば、すごく嬉しいことです」(田村部長)

共同購買の詳細については、MIRAIぱちんこ産業連盟事務局まで、お問い合わせください。
info@mirai-pachinko.jp
※『月刊アミューズメントジャパン』2022年10月号に掲載した記事を転載しました。


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