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2022年09月26日
No.10003035

情報漏洩がなく、そして好条件成立のM&Aとは?
船井総合研究所 M&A支援室

情報漏洩がなく、そして好条件成立のM&Aとは?

25年前からパチンコホールの経営支援に取り組んできた船井総合研究所(以下、船井総研)。同社では2015年にM&A支援室を設立。ホール業界に特化したM&Aの支援を行ってきた。同社の強みはどこにあるのか。ホール経営企業と深く関わる奥野倫充氏と平野孝氏に聞いた。

──旧規則機の撤去が終わってもホールの休廃業が続いています。この状況をどう見ていますか?
平野 依然として商圏の中でオーバーストアのエリアはまだまだある。CR機、5号機撤去のあった2月を過ぎても状況が変わらず、売却を検討される法人様からの経営相談はますます増えている状況です。

──M&Aの案件ではどのような傾向が見られますか。
奥野 私たちが胸を痛めているのは、ご相談案件の約半分はお役に立てない(事業譲渡できない等)ことです。約2割は同業他社とのM&Aが成立する案件。約3割は他業種に転用できる案件。そして、残りの5割は事業譲渡先が非常に見つけにくい案件になります。店舗を売るか売らないかで悩んでいるオーナー様は、廃業しなければならない店なのか、同業他社から評価がつく店なのか、他業種から高評価が得られる店なのかを認識されないまま迷っておられる方が多い。パチンコ業界の時流は買い手有利の状況が進行していますので、売却検討店舗においては、まずは客観的な評価を把握することが大事とも思います。
平野 オーナー様によっては当社の説明を聞いて、なるほどと納得していただけます。長年の経営を経て愛着のあるお店でも将来性が見込めない。そして、再投資するとなるとどうなるか。そこを判断して売却の話が進むケースが結構多い。現実から目を背けないことが必要かなと感じます。

事業拡大実績がある
企業約50社との信頼関係


──店舗売却の相談で船井総研の強みはどこにありますか?
奥野 約20年以上ホール業界に特化したコンサルティング支援を手がけてきたこともあり、現在、M&Aの能力がある(近年、新規出店やM&Aの実績がある)ホール経営企業様約50社と密なコミュニケーションが取れているところです。この50社様とは具体的なM&A案件のご案内等を通じ、その企業の事業拡大方針やどのエリアでどんな店舗に関心があるか等を把握させていただいています。頻繁にコミュニケーションを取っているので、当社に売却案件のご相談をいただいた際、すぐにどの企業様とマッチングすればうまく進むかをご提案できる。もちろん、好条件を模索するために新規の買い手候補先企業様にも売主様と相談しながらお声がけしていきます。いずれにしても、我々は、オーナー様やマネージメント層の方々と直接携帯電話で連絡を取るのでスピード感がある。これが私たちのサービスの提供価値だと思っています。

──店舗の売却を検討する際に気を付けなければならない点は?
奥野 パチンコ業界との関わりが少ないM&A仲介会社は、売主様と強固な専属契約を結んだ後、電話等で飛び込み営業をする。そうした手法でオーナークラスにたどり着けることは難しいと思います。その結果、何年経っても買主が見つからず、当社にご相談が来たケースもありました。

──売却物件情報が業界内で出回ってしまうこともありますね。
奥野 営業中店舗の売却話が広まってしまえば風評被害にもなりかねません。船井総研では当然、売主様、買主様と秘密保持契約を結んでお話をさせていただきます。しかも社内でM&Aの情報を共有しているのは私と平野の2人だけ。売却可能な物件に全力で対応し、可能性がない物件は無理に情報を持ち続けず、早い段階でお断りするようにしています。

──売れると判断した物件の場合、どのように進めますか。
平野 ご連絡いただいた後の最初の打ち合わせで、当該店舗の価値を数字で示す「企業価値レポート」を売主様にご提案します。こういう再投資をすれば年間このぐらいの利益を出せる物件として評価されますと売主様にご提案。そして、買主様には再投資をすれば年間これぐらいの利益を出せる物件ですがいかがですか? とご提案し、評価してくれる企業様とマッチングしていきます。

奥野 船井総研では100を超える業種のコンサルタントがいます。その強みを活かして、異業種企業への売却という選択も提案させていただきます。過去のM&A案件では、同業他社より良い経済条件で他業種法人との契約が成立した店舗もあります。ただし、こうしたケースでは建物の取り壊しなどは売主様負担になります。それを差し引いてもパチンコ法人より他業種法人の方が良い条件を出してくれるケースがあるのは、ある意味さみしく思うところですが。

──買主が見つかった後はどのように進めますか?
奥野 契約書の素案作成のお手伝いをさせていただき、その後は売主様、買主様の弁護士さんなどが契約書を詰めていくことになります。当社は完全成功報酬とさせていただいているので、引き継ぎに向けたスケジュール管理などまでを含めて、ご相談から引き渡しまでの作業の費用は一切いただいておりません。

──これまでM&Aに関わってきて、大事だと思うことは?
平野 最初に必ずご相談の理由を聴くようにしています。業績が悪く赤字の店を続けていても仕方がないという明確な理由の場合が多いのですが、例えば後継者がいないといった理由もある。それは経営者にとって大きな悩みですよね。そこはコンサルタントとしては、最大限寄り添いたいところです。我々ならではのお手伝いができる部分だと思っています。
奥野 果たして売主様にとって事業譲渡がベストなのか。そこはすごく考えます。例えばですが、売主様に何度も聞くんです。「自社で頑張ったら再生できる可能性もありますよ」などと。我々への依頼内容はM&A仲介。ただ、それに囚われず、売主様や買主様のハッピーはなんなのかを真剣に考え抜いて並走しています。ただ、しかし、現在は買い手有利の状況がどんどん加速しているので、少しでも早くご相談をいただいたほうが、引き受け手を探しやすい状況でもあります。もし今後の展開で迷われているオーナー様や企業様がいらっしゃれば、時機を逸しないように、とくにかく相談だけでも早めにいただければと思っています。





※『月刊アミューズメントジャパン』2022年10月号に掲載した記事を転載しました。


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