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2022年01月26日
No.10002635

【特集】異業種参入で新基軸
本当に成長するFCビジネスとは?【後編】
株式会社ビジネスチャンス 中村裕幸社長

本当に成長するFCビジネスとは?【後編】
中村裕幸社長

【本当に成長するFCビジネスとは? 前編はこちら】

異業種にあらたに参入する際、障壁のひとつは運営ノウハウを一から構築しなければいけないことだ。その点、フランチャイズチェーン(FC)に加盟すれば、店舗づくりや出店場所の選択、品揃え、販売価格、仕入れ、集客までを一括して知ることができる。では、日本で約1300もあるFCの中から何を選び加盟すれば良いのだろうか。ビジネスチャンス社の社長で雑誌『ビジネスチャンス』の編集長、中村裕幸氏に伺った。

FCガイドライン発表で
コンビニ出店に陰り?


国内のFC加盟店舗数で上位を占めるのが、コンビニエンスストアだ。1位の『セブン‐イレブン』が2万632店、2位の『ファミリーマート』が1万5260店、3位の『ローソン』が1万4228店。3ブランド合計で5万120店(直営店合計1248店を除く)と、5504店で4位の『ホワイト急便』の9倍以上もの店舗があり、いかに巨大なFC市場を形成しているかがわかる。 

ところで、コンビニエンスストアのFCでは、一部のオーナーが本部と「24時間営業の強制」「商品の値下げ禁止」「特定業者からの仕入れの指示や抱き合わせ販売」を巡ってトラブルになる事例が散見される。日本のフランチャイズ事業は、アメリカなどに比べ加盟店を保護するための成文法があまり整備されていないこともその一因だ。

昨年、公正取引委員会が「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」(フランチャイズ・ガイドライン)を発表。人手不足に関する情報の提示や仕入れ先の指定などに関する”望ましい方向性“を示した。また、「中小小売商業振興法」が一部改正され、加盟する時に出店を予定しているエリアの3事業年度分の収支を書面によって情報開示・説明することが義務付けられた。

「フランチャイズ・ガイドラインについては、特にコンビニエンスストアを強く意識した内容に思えます。今後、ドミナント出店なども難しくなり、加盟店舗数が伸び続けてきたこの業態の潮目も変わるかもしれません」

写真はすべてイメージです。実際のFC店とは関係がありません

伸び盛りのFCの共通点は
オーナーに運営の裁量権

今年3月、東京ビッグサイトで日本経済新聞社が主催する『フランチャイズ・ショー』が開催される。テイクアウト専門店、ゴーストキッチン、買取専門店、フィットネスクラブ、美容系などの出展の多さが目立つ。

「数年前はタピオカ、昨年は唐揚げのFCが数多く出展していました。FCの業態には、その時折の社会情勢が色濃く反映されますので、出店数が多い業態に注目するのもいいかもしれません」

昨年、目立って躍進したFCのひとつにゴルフ用品の買取店が挙げられる。コロナ禍で、三密を避けられるレジャーということと、定額給付金の10万円を使ってクラブを買い揃えてゴルフを始めた人が多かったことなどが影響している。特に20代の若年層の増加が顕著で、ゴルフ人口の底上げにも貢献、今後も伸びが期待できる。

中村社長は、伸び盛りのFCに共通する点は、加盟店が業績アップのために能動的に努力できる仕組みがあることだと話す。「高い商品力があり、本部が優れた運営ノウハウをもっている上での話ですが、加盟店のオーナーに裁量権があり、その店舗独自のオペレーションができることが実は成長のカギになっています」。

『コメダ珈琲店』の加盟店は850店舗超。人気メニューのひとつ、シロノワールはデニッシュパンにソフトクリームを載せたものだが、量は各店舗で決めることができる。その店の標準量が3回半巻きだとすれば、子供づれや女性客には「サービスです」と言って、4回半巻き分を載せることも。こんな小さなプラスアルファのおもてなしが、「コメダファン」づくりに役立っている。

加盟店861店舗を数える『ワークマン』のメイン商品は作業着や安全靴だ。工務店の社長や職人が主な客筋なので、コミュニケーション能力が高く、くだけた世間話ができる店長やスタッフがいる店舗が強い。マニュアルに縛られない自由な接客がリピーターづくりを左右しているようだ。

ホールオーナーの中には、月の売上げが1店舗500万円以上でなければ、食指が動かないという人も多い。しかし、郊外型の店舗ならばそうした条件のFCもたくさんある。また、数十店舗の加盟店を擁するメガフランチャイジーになれば、トータルでホール経営に匹敵する売上げを目標にすることができる。ホール法人の元役員で独立して学習塾のFCを始め、今では80店舗以上、他の業種も含めれば100店舗以上を抱えるメガフランチャイジーとして大成功した人もいる。

ところで、異業種参入を本業の売上げ低下を補填するための”投資“とだけ考えると他業種参入は失敗する場合が多いという。

「参入目的を、社員の雇用の確保と考えるホール法人は成長が期待できます。ホールの店長から飲食店の店長に異動してもらった場合、すぐには同じ給与は払えませんが、その店長に店舗を分割払いで譲りオーナーなってもらうという選択をすることもできます。自分の店を持てば、やる気や働きがいが違います。店の売上げが伸びていけば、ホール店長の時との収入の差も縮まっていくのではないでしょうか」
※『月刊アミューズメントジャパン』(2022年2月号)から転載

紙媒体では日本で唯一のFC専門情報誌(隔月刊)。
税込み800円。書店やAmazon等で販売。

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