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2022年01月25日
No.10002634

【特集】異業種参入で新基軸
本当に成長するFCビジネスとは? 【前編】
株式会社ビジネスチャンス 中村裕幸社長

本当に成長するFCビジネスとは? 【前編】
中村裕幸社長

異業種にあらたに参入する際、障壁のひとつは運営ノウハウを一から構築しなければいけないことだ。その点、フランチャイズチェーン(FC)に加盟すれば、店舗づくりや出店場所の選択、品揃え、販売価格、仕入れ、集客までを一括して知ることができる。では、日本で約1300もあるFCの中から何を選び加盟すれば良いのだろうか。ビジネスチャンス社の社長で雑誌『ビジネスチャンス』の編集長、中村裕幸氏に伺った。

コロナ禍からの回復著しい
郊外の大型飲食店に注目


まず、昔からホール企業と親和性が高いと言われる飲食店のトレンドについて聞いた。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、飲食店の営業に大きな影響を与えてきた。しかし、こうした状況でも売上げを伸ばした業態があるという。

「都市部の居酒屋系フランチャイズ店は壊滅状態で、売上げがコロナ禍前の2割程度まで落ち込んだ店舗がたくさんありました。一方、飲食でも郊外店は、売上げが6割程度で下げ止まった店舗が多く、今はかなり回復しています。21年の早い時期に昨対比100%まで戻した店舗もありました」

リモートワークに切り替わり、出社しなくなった時期でも家の近くの飲食店で食事をしたり、テイクアウトを利用した人が多かった。繁華街やオフィス街の飲食店とは対象的だ。

郊外型店舗の中でも、とりわけ好調だったのがキャパシティの大きい飲食店だ。『珈琲処 コメダ珈琲店』、『からあげ専門店 からやま』、物語コーポレーションの『焼肉きんぐ』と『丸源ラーメン』などがその代表格で、広い店内で三密を避けながら飲食ができる点も利用客の減少に歯止めをかけた。

同じ郊外店でも、ロケーションによって売上げは変化する。片側1車線の生活道路沿いよりも、片側2車線の幹線道路沿いの方が商圏が広くなり、出入りがしやすい点から、より大きな売上げが期待できる。

「用地選定にあたり、コメダ珈琲のようにあえてメイン通りから1本奥に入ったロケーションでの出店を提案するFC本部もあります。当然幹線通り沿いよりは売上げが下がりますが、土地取得費や建物の賃借料が安い。例えば20年ぐらい店をやっていくと数千万円の差が出ますので、トータルではその方が大きく儲かるという考えです。コメダ珈琲に多い経営にシビアなオーナーは、この方針に共感するようです」

逆に地域一番の好立地にこだわるFC本部もある。『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』を展開する物語コーポレーションは、「立地が良ければ黙っていても売れる」という方針。強力な立地戦略を推進することで、数多くの繁盛店を生み出している。

写真はすべてイメージです。実際のFC店とは関係がありません

オペレーション簡略化できる
テイクアウトやデリバリー


コロナ禍では、テイクアウトの飲食物を販売する形態も好調だった。伸び盛りのブランドとして注目されているのは、台湾茶やミルクティー、コーヒーなどを提供する『貢茶(ゴンチャ)』。客席ありの店舗も多く、阿里山ウーロンミルクティーがMサイズで税込み510円と他のカフェに比べ若干高めの価格設定だが、本格的な茶葉の香りが好まれ、業績を伸ばしている。

『bb.q オリーブチキンカフェ』は、世界25カ国に2500店舗を展開する韓国№1チキンブランドだ。日本ではワタミが運営権を取得。サクサクとした食感とバラエティ豊かなソースが人気で、昨年1月には3店舗だったが、12月には19店舗まで拡大した。

同様にゴースト・キッチンも売上げを伸ばした。客席を持たずウェイターを雇わないことや、電話・ネットのみで注文を受けることで経費を抑えるデリバリー専門の飲食業態だ。ウーバーイーツなどの外注経費を含めてもコスパの良いビジネスモデルと言える。

デリバリー専門ではないが、「完全非接触販売方式」で24時間年中無休営業の無人ギョーザ販売所『雪松』も、話題を呼んだ。50年の歴史を誇る老舗の餃子店が作る冷凍餃子は、1袋36個入りで1000円。客は必要な数を冷凍庫から出し、料金箱に代金を入れる販売方式だ。ある店舗では、あまりにも売れすぎて料金箱から1000円札がはみ出したが、誰も盗もうとはしなかったという。治安の良い日本だからこそ成り立つFCビジネスとも言える。

「テイクアウトやデリバリーは、オペレーションの手間が少なく、減少した売上げをカバーするには格好の販売形態です。訴求の仕方次第では、『待ち』ではなく『攻め』の営業ができる点も強み。コロナ禍が収束し、客が戻ってきた時点でやめるかどうか迷うところですが、いったんやめてしまうと再び緊急事態宣言が発令された場合、集客を一からやり直さなければいけませんので、慎重に検討するべきでしょう」
※『月刊アミューズメントジャパン』(2022年2月号)から転載

【本当に成長するFCビジネスとは? 後編はこちら】

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