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2022年01月07日
No.10002600

【特集】マンガのチカラに迫る②
マンガには行動変容の力がある
マンガは課題解決のための“最強の脇役”

トレンド・プロ 岡崎寛之 社長

マンガで伝えるという手段は、ビジネスシーンでも広く活用されている。活字よりも目を引くイラストや読み進めやすいコマ割り、内容を把握しやすい端的なセリフなどによって、分かりやすく伝えられることが大きな特徴だ。

ビジネスシーンで活用されるマンガは総じて「企業マンガ」と呼ばれている。その大部分を占めるのが広告の役目を果たす「広告マンガ」だ。広告マンガ以外には就職希望者向けに企業理解を促す「採用マンガ」、社員教育に用いる「インナーマンガ」といったものがある。

広告マンガの近年の伸長ぶりは非常に頼もしい。その理由を岡崎社長は次のように分析する。

「理由の一つは、”多様性“だと思います。情報を受け取る人、特に若者の価値観や受容性が多様化しているために、万人受けする広告は彼らの心に強く刺さらない。マス媒体の代表格であるテレビCMに多額のコストをかけても、費用対効果に見合わないのです。そこでターゲットとコストを二層や三層に分けて各層ごとに広告を展開することが主流となり、その手段の一つとしてマンガというアプローチ方法が注目されているのです」

トレンド・プロには業界・業種を問わず、上場企業や名の知られている大手企業が相談を持ち掛ける。「ざっくりとしたプロモーションから脱却したい」「マンガでピンポイントにアプローチしたい」──。マンガ制作会社はときに、課題解決を図るソリューションパートナーとしての一面をもつ。
 
「例えば自動車メーカーの広告にマンガを使う場合を考えてみましょう。車はどの世代にも十分に認知された商品です。ですから『新車が出る』という広告を見たところで、買おうと思う若者はまずいない。関心を呼び起こすことすらできないはずです」

ではこの難問に、マンガはどのように立ち向かうのか。岡崎社長は「疑似体験」が効果的だという。
 
「簡単にいえば、この車を所有することで得られるはずの感情に訴えかけます。例えば目的地までの移動中に彼女とこんな風に時間を過ごせるよとか、電車よりも居心地よく移動できるよとか。ターゲット層はストーリー次第で変えられます。マンガで分かりやすく描くことで、『車を持ってみてもいいかな』という気持ちが芽生えるのです」
 
当然ながらマンガを読ませるだけで、購入までの意思形成ができるわけではない。マンガが広告で担える役割は、顧客に商品価値を「自分事として」認識させること。読み手の気持ちに働きかけられるマンガには、行動変容につながる力がある。このことから、岡崎社長はマンガを「最強の脇役」と名付けている。


これまでに手掛けたビジネスコミックの一部。広告マンガの実績も華々しい


社員教育もマンガで

トレンド・プロは、広告マンガのビジネスモデルを日本で初めて確立したパイオニアだ。創業者で現・相談役の岡崎充氏が、起業前の社内プレゼンで好評だったマンガのポテンシャルに着目。1988年に創業した。
 
「私たちは文章をマンガに変換します」。当時斬新だったこの発想は、瞬く間に反響を呼んだ。追い風になったのが金融の自由化(96年)だ。無形商材とマンガ広告の相性は抜群に良く、金融、不動産投資、IT関連が同社の成長を支えた。
 
マンガ広告を大黒柱とする傍ら、ビジネスコミックも第2の柱に育てた。ビジネスコミックは既刊の文字書籍をマンガに描き直したもの。一般的な入門書やビジネス書がさらに分かりやすくなる。版元の出版社と手掛けるもので、『マンガでわかる統計学』(オーム社)や『ザ・ゴール コミック版』(ダイヤモンド社)は大ヒットとなった。
 
「広告マンガ以外では、インナーマンガの問い合わせが増えています。経営戦略の社内周知や社員教育用に使う大企業が多いですね。例えば新しい戦略を打ち出す場合、その目的や意義を全社員に浸透させるには骨が折れます。そこでイントラネットにWebマンガをアップ。全社員で共有するといった使い方が見られます」
 
社員教育のケースでは、「新入社員への指導方法」といった管理職向けの内容が人気だ。新人に対して高圧的な態度をしていないか、指導に統一感や一貫性はあるかなど、早期離職を防ぐためのアドバイスが分かりやすく解説される。
 
「Webマンガは1コンテンツとして制作しますから、紙媒体と違って何人が見ても費用は変わりません。見る人数が多いほど費用対効果に割安感が出てきます。新しく1on1を始めるとか、評価制度を変えるときなどに周知させるツールとして重宝すると思います」

マンガは変幻自在

マンガは作家の画風によって、読者に与えるイメージが大きく異なる。描く線の量が多く太ければ重厚な印象になるし、少なく細ければ繊細な印象になる。キャラクターの動かし方やセリフの選び方にも”適材適所“があるのだ。
 
オウンドメディアにマンガを掲載して、アクセス数の増加を狙うといった使い方も非常に増えている。「島耕作」のような有名コンテンツとのタイアップも応相談。社員に読ませたい本をマンガで表すことも可能だ。
 
「マンガ制作をご依頼いただいたときは、若年層向けや女性向けといったターゲットや伝えたい内容を考慮して、約2000人いる漫画家さんの中から最適な方を選出します。仕上がりのイメージがなくても予算や用途に応じたプランを提案しますので、ぜひマンガのチカラを信じてみてください」


※この記事は『月刊アミューズメントジャパン』(2021年9月号)に掲載したものを転載したものです。


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