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2017年10月19日
No.10000342

5.9号機時代到来!
パチスロ新基準をどう活かすか
「勝ち」割合を増やし打ち手の満足度アップを

これからホールに設置されるパチスロの新台は5.9号機となる。様々な基準の遊技機が混在するパチスロだが、それぞれの長所を把握した上で運用していくことが重要だ。5.9号機の特性と、効果的な活用方法について探った。



まず5.9号機の基準をあらためて整理してみよう。1Gあたりの純増枚数、いわゆる傾斜値は5.5号機と変わりない。5.5号機と5.9号機を比べた際(A+ART機の場合)、出玉スピードという点ではほぼ同じ性能となると予想される。

5.9号機の大きなポイントは「通常区間」と「有利区間」を設けた点だ。「有利区間」とは、指示や指示抽選が可能な区間のこと。この有利区間の最長継続を1500Gとしているため、傾斜値の上限である純増2枚×1500Gで「3000枚規制」といった表現をされることもある。もっとも、1500Gの間にボーナスや出玉のないゲームも含まれるため「3000枚規制」という表現は正確ではない。



このほかの基準もゲーム性の幅を狭めるものではない。例えば、「有利区間への移行抽選は設定差を設けない」としているが、これも設定差を設けなければ、小役以外に有利区間への移行が確定するボーナスなども搭載できる。また、有利区間はART直撃、高確率、低確率のゾーンといったように、複数のゾーンを搭載できる。有利区間に頻繁に入るもの、なかなか入らないが突入すればチャンスとなるものなど、多彩なバリエーションの遊技機開発が可能になる。

ARTの上限が決まっている点に懸念を示すホール関係者もいる。仮に有利区間の最長継続ゲーム数である1500Gまでの継続が確定した場合、それ以降にレア役などを引いてもゲーム数が上乗せされない。これが「ファンに受け入れられないのでは」と懸念する声もある。これも、コンテンツの世界観を活かしたエンディングを設け、「クリアした」という達成感をもってもらうなどARTが「終わってしまう」というネガティブな感情を抱かせない工夫を各メーカーではしているようだ。

2000枚オーバー率設定1でも70%超に

射幸性が抑えられることはマイナス面だけではない。5.9号機の最大の利点は「勝ちの分配」だ。旧基準機は大きな差玉を追求した機種が多く、それがファンに支持された要因である一方、「事故待ち」といった表現に代表されるように、その勝ちを享受できる確率は低い。

5.9号機は最大差玉を抑える一方で、勝ち体験を多くのユーザーに分配できる点で、パチスロの新しい可能性を秘めている。これにより離反を防いだり、遊技頻度を高めるといった好循環が見込めるからだ。

矢野経済研究所がパチスロファンの出玉満足度を調べたところ「1000枚」で「やや物足りない」が30%まで低下。1500枚で「満足」が「やや物足りない」を上回り、2000枚で過半数が「満足」と答えている(図表2)。



5.9号機は、設定1でも1000枚オーバー率90%、2000枚オーバー率70%、設定6なら2000枚オーバー率80%超といったスペックも可能になる。5.5号機でも2000枚オーバー率は50%程度であることを考えると、いかに優れた数値か分かるだろう。ARTの最長1500Gは約2時間程度で消化できるので、夜から打ち始めるサラリーマンなどは、出玉期待感が高い5.9号機の方に魅力を感じるはずだ。

パチスロに詳しい矢野経済研究所の稲田剛氏は「出玉を重視するファンは旧基準機、バランスを重視するファンは5.5号機や5.9号機といったように、機種ごとで集客の役割は異なってくる。また、同じプレイヤーでも時間がある日は旧基準機、夜から打つ日は5.9号機、とTPOに合せて打ち分けるファンもいるはず。どちらにしても、5.9号機の特性をホールが把握し、それをお客様に伝えることが大切だ」と話す。