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2017年06月27日
No.10000203

SPARKS NETWORK
集客力を高め人材不足を解決する
ES調査とCS調査の両面から改善を支援

集客力を高め人材不足を解決する
中村 恵美 SPARKS NETWORK㈱ 代表取締役 東京都出身。グロービズ経営大学院修士課程修了(MBA)。11年4月、SPARKS NETWORK設立。「営業マンスタッフ育成支援」「自立型経営社員育成」「女性スタッフの活躍推進」「顧客を創造するサービスマネジメント」をテーマとしたファシリテーターとして活動中。

接客向上の取り組みがユーザーにどう評価されているかを測定するのにミステリーショッパー調査は非常に有効だ。だが、問題が明らかになっただけでは解決できない。「根本的な問題解決は、組織風土を変え、各人の意識を変えること。そのために従業員満足度を高めることです」とSPARKS NETWORKの中村恵美代表は言う。

──いまやどのホールでも接客の重要性を理解し、接客力向上に日々取り組んでいると思います。成果が出る、出ないはどんなところにあるのでしょう?
中村 その取り組みがユーザーにどう認識されているかを、客観的に測定する方法としてミステリーショッパー調査(MS調査)による顧客満足度調査は有効です。社内チェックでは課題を見つけようとするあまり、お客様が気にも留めないような細部にまでとらわれすぎてしまうことがあります。弊社では、徹底したエンドユーザー視点のMS調査をおこない、「再来店したい」「この店を友人に紹介したい」という意向にどれだけ繋がっているかを重視して評価をスコア化します。

──接客力が向上すると稼働もあがりますか?
中村 MS調査の結果が分かっただけでは、接客力は向上しません。また、接客力が向上しても、接客と稼働を切り分けて考えていては、稼働は上がりません。弊社は、ホールスタッフの重要な役割を、ユーザーの「再来店したい」「この店を友人に紹介したい」という意向の形成・促進だと定義しています。つまり、稼働への貢献です。そのための接客を「営業接客」と呼び、調査だけでなく、営業接客を強化するお手伝いをしています。ホールスタッフの役目はお客様の不快、不満を取り除くことはもちろんのことですが、客滞の向上や再来店促進を意識した声かけや貯玉のお薦めなど、稼働アップにつながる行動こそ重要です。稼働アップのために設定した課題の実行度を測定し、高めていくのに有効なツールの一つがMS調査なのです。

──MS調査によって自店の課題がわかっても、それを改善できないこともあります。
中村 やり方が分からないと行動に移せません。やる意味が分からなくても行動に移せません。そこで弊社は、店舗改善のための「増客ミーティング」というプログラムを提供しています。これはスタッフ一人ひとりが、自身の仕事の目的意識が明確になることのお手伝いです。一方的に何かを教え込むのではなく、実際のミーティングに参加しファシリテーター役をすることで、スタッフたちは「全ての仕事が集客に必要な営業接客であり、お客様の離反防止・客滞率アップ・再来店促進につながっている」と認識できるようになります。多くの時間をディスカッションやシミュレーションに費やし、目標行動は数値化させて進ちょく度合いを可視化することにこだわっています。

──それが「自走できる社員」の育成ですね。
中村 はい。ホール様にとって真に必要なのは、弊社のサポートなしで、スタッフの皆さんが自分たちで考え改善を続けられるようになることです。しかし、同じように、スタッフが自走できるようになるプログラムをご提供していても、スタッフがぐんぐん成長するホールと、なかなか成果が出ないホールがあります。かねてよりその違いの原因を、薄々と感じていましたが、従業員満足度の違いだという結論に達しました。そこで、従業員満足度調査の結果の分析にもとづいたご支援を盛り込むことにしたのです。



──従業員満足度は、社員が自ら考え行動できるようになるかに影響していますか?
中村 はい。弊社が着目したのは、国立研究開発法人産業技術総合研究所と(株)MS&コンサルティングの共同研究です。「HERB診断」というサービス業に特化した、回答者数15万人の従業員満足度診断調査を分析したもので、「今の店舗をもっとよくしたい」という改善意識と最も相関が高いのは「帰属意識」でした。そのほかに影響度が高いのは、自分の仕事に誇りを感じている、自分の仕事がお客様の喜びにつながっていると感じているなど「自分の行動に対する納得感」。また、店長が示しているビジョンに共感していることも強く影響しています。「帰属意識」と相関が高いのは、いま述べた通り「改善意識」ですが、そのほかに影響度が高い項目はほぼ「働きがい」にくくることができる項目です。

──まさに従業員満足は「自走できる組織」づくりの土台ですね。
中村 従業員満足度はひとつの尺度で点数化できるものではなく、大別すると「リーダーシップ」「自分の行動に対する納得感」「チーム・組織環境」「職場・会社の評価(働きがい)」の4因子にくくることができるので、スタッフ一人ひとりの回答は匿名でも、店舗ごとに集計することでどこに問題が潜んでいるかがわかります。弊社はその結果にもとづいて組織づくりのご支援をしています。

──離職率の低下にもつながりますね。
中村 アルバイトにせよ若年層にせよ、早期離職の最も多い理由は人間関係です。いま人手不足で、採用のためにシフトの融通をしたり時給を引き上げたり福利厚生を手厚くしたりしています。しかし、それらの不備は離職理由なのでしょうか? そもそも離職を防ぐことに取り組めば、欠員は減らせます。人材不足の解消にも従業員満足度の向上は有効です。従業員満足度調査、顧客満足度調査の両面から、店舗ごとの課題を抽出し、それに即した「増客ミーティング」プロジェクトを運営する。それによって、集客力の向上と離職率低下の両方に貢献できるのです。


■□■ 従業員満足度診断「HERB診断」□■□
「あなたは今の仕事に働きがいを感じていますか?」「店長が示しているビジョンに、そうなりたい、達成したいと共感していますか?」「職場の人間関係が心地よいものだと感じていますか?」などの43項目について質問。その結果を、リーダーシップ(ビジョン)、リーダーシップ(共感)、チーム・組織環境、モチベーション、オーナーシップ、働きがい、の6カテゴリーに分けて得点を算出。各カテゴリーの得点の店舗平均を出すことで、店舗間比較、同業種全体との比較ができる。優良店と下位店ではどの領域の従業員満足度に差があるのかを知ることで、より具体的に従業員満足度向上の施策を明確化できる。
一般的に従業員満足度調査は正社員のみを調査対象とすることが大半。しかし、店舗サービス業においては、顧客と直接応対する店舗スタッフが重要となる。SPARKS NETWORKでは、調査人数ではなく1店舗2万円×店舗数+ES改善会議(4時間)25万円(税別)という価格設定をしているため、パート・アルバイトのスタッフも調査対象とすることができる。


SPARKS NETWORK
http://sparksnetwork.jp

※月刊アミューズメントジャパン 2017年7月号掲載