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2022年01月17日
No.10002612

【特集】急増する企業eスポーツ部②
ゲームが会社の共通言語に[後編]
社員間、企業間を繋ぐ働きも

ゲームが会社の共通言語に[後編]
エイプリルナイツ 代表取締役CEO 三瀬尚徳氏

2018年2月にeスポーツ競技大会の普及などを目的とした日本eスポーツ連合(JeSU)が発足されるなど、日本でもここ数年で理解度が高まってきたeスポーツ。プロゲーマーの雇用やスポンサーなどを行うだけでなく、社内でeスポーツ部を設立する企業も増加傾向にあり、企業同士が対戦する大会も開催されるようになった。なぜeスポーツをスタートしたのか、どのようなことに期待するのか、eスポーツに関わる企業を取材した。

企業eスポーツ部が増加
自分を発揮できる会社へ


「もともとゼロに近かった企業eスポーツ部はここ1年で増加傾向にあります。コロナ禍で外出を控え、ゲームをする社会人が増えたことが要因です。ここ数年でeスポーツに対する社会の理解が進んだことも大きいと思います。社内のゲーム好きが集まってゲームをする企業はありましたが、それがeスポーツ部として認められたり、それまで個人個人でプレイしていた社員たちにゲームをできる場を提供するためにeスポーツ部を設立したという企業もあります」

『cogme』には現在、約200社が登録している。この中には活動予定中の企業も含まれており、創部前から注目していることが分かる。では、なぜいまeスポーツ部を設立する企業が増えているのだろうか。

「コロナ禍で働き方が多様化したことが大きい。社員は会社に対する想いが希薄になり、今の企業で働き続けることに疑問を抱くようになってきています。そこで企業側としては福利厚生を強化する必要性が出てきました。ゲームは関心を持つ人が多い領域なので、まさにうってつけ。企業の名を背負って自分を発揮できる場を提供する。社員には新たな使命感が生まれますし、活躍が認められれば承認欲求も満たされると思います」

ゲーム好きが集まるエイプリルナイツの社員も積極的に大会に参加している

ゲームで交流を深める
企業対抗の大会も開催


企業のeスポーツ部が増えたことで、社会人だけを集めた大会の規模も大きくなってきた。大手印刷会社の凸版印刷などが立ち上げた「AFTER 6 LEAGUE」は、企業eスポーツ最大級の大会。「たたかう、つながる」をコンセプトに、eスポーツを通じてこれまで接点がなかった企業が対戦し、そのなかで生まれる絆やつながりを創出することが目的だ。第1回大会は昨年10月に開幕。5つのゲームタイトルが用意され、約半年間行われるシーズンで熱戦が繰り広げられた。

エイプリルナイツは「AFTER 6 LEAGUE」の運営にも携わっており、生配信で開催される大会の進行を陰で支えていた。有名配信者やプロゲーマーが参加する大会ほどの視聴数には及ばなかったが、同じ会社で働く社員や取引先企業といった関係性の強い人たちからの注目が集まった。

「大会終了後には参加企業様から、実際にコミュニケーション量が増えた、チームビルディングに役立ったという声をいただきました。一方で、社員が企業の名前を背負って出場している大会ですから、運営者としてはもっと多くの同僚や取引先の方々に観戦していただき、応援してもらうという流れを創ることに注力していかなければいけないと感じました。視聴数が少なくても、『あのシーン惜しかったね!』などという会話が社内外で生まれればeスポーツ大会の価値は高まっていくと思います」

エイプリルナイツでも「cogme cup」という大会を運営している。さまざまな大会の開催に関わってきたなかで、今後の課題も見えてきた。

「プロの大会とは違うので、自分たちの会社が広報されるとか、自分たちのサービスや商品をアピールできるとか、社内から認められて応援されるような機会をつくらなくてはいけないと思っています。企業のeスポーツチームは、プロと違ってまだなにも利益が出ていない状態で、みなさんのモチベーションだけで続けている。それを続けさせてあげられるような、成果発表の大会にしなくてはいけないと思います」

シーズン2の開催が決定した企業eスポーツ最大級の大会「AFTER 6 LEAGUE」

「cogme cup」はこれまでに2回開催され、「AFTER 6 LEAGUE」はシーズン2の開催が決定。ほかにもさまざまな企業がeスポーツの大会を開催している。企業eスポーツの注目度が増すことで、スポンサー収入などといった利益を生み出す大会になる日も近いかもしれない。

最後に今後の目標について尋ねてみた。

「大人でも『趣味はゲーム』ということを、胸を張って言えるような社会を創っていくことが目標です。社会人領域におけるあらゆるeスポーツ関連の課題をワンストップですべて解決できる会社にしていきたい。また、社会人リーグで一番大きい大会である『AFTER 6 LEAGUE』を企業や一般の社会人ゲーマーに注目されるような、最高峰の大会にするために力を尽くしていきたいですね」

※この記事は『月刊アミューズメントジャパン』(2021年10月号)に掲載したものを転載したものです。

ゲームが会社の共通言語に[前編]はこちらから

※インタビューは10月時点のもの。『cogme』は2021年11月にリブランディングを発表。社会人 × eスポーツの入り口であるオンライン交流や企業eスポーツ部の創設を支援する「cogme club」、企業eスポーツ部の成果発表の場としての大会「cogme cup」、信頼できる社会人ゲーマーどうしをつなぐアプリケーション「cogme」を展開する。詳しくは下記URLまで。

『cogme』公式ホームページ


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